生理痛を軽減するにはピルとミレーナどちらがおすすめですか?【宋美玄先生】

生理痛を軽減するにはピルとミレーナどちらがおすすめですか?【宋美玄先生】

読者からお悩みを募集し、子育て、教育、健康など各分野の専門家にご回答いただく人生相談コーナー。今回は丸の内の森レディースクリニック院長の宋美玄先生が、生理中の不調に対するお悩みに答えます。お悩みはオンラインで随時受付中!

【お悩み】生理痛を改善したい。40歳目前で使うなら、ピルとミレーナどちらがおすすめですか?

10歳男児のママ
10歳男児のママ

独身時代よりはマシになったものの、いまだに生理2日目は鎮痛剤を飲まなければ動けないときがあります。

40代に差し掛かかり、「もう閉経してもいいのになー」と生理がくるたびに疎ましく思っていたところ、宋先生のお話で「ピルを飲めば生理の出血や腹痛が軽減する」ということを知りました。

「ピルを試してみたい」と思いつつ、ピルを飲むのにリスクが高まる「40歳以上、喫煙者、肥満」の「40歳以上」と「肥満」に当てはまる私は「ミレーナのほうがいいのかな?」とも考えています。

いい加減、生理のつらさや煩わしさから解放されたいですが、体に器具を入れっぱなしにすることへの抵抗で踏み切れずにいます。

また、ピルやどによって性欲がなくなったり、性交痛があるのではないかと心配です。

生理痛の改善には、40代目前だとどんな選択肢があるのでしょうか?自分に合った方法を見つけたいです。

【宋先生の回答】生理のお悩みにはピル、ミレーナ、ミニピルという選択肢があります

生理痛を改善するために、自分にあった選択肢を知りたいというお悩みですね。

まず、子宮内黄体ホルモン放出システムIUS(ミレーナ)は、婦人科で装着する子宮内避妊器具で、一度装着すれば最長で5年は効果が持続します。

ミレーナは避妊効果だけでなく、子宮内で黄体ホルモン(プロゲステロン)を持続して放出させることで、子宮内膜の増殖を抑え、徐々に出血量が減り、年に数回、少し出血する程度になって月経痛も軽減してくれるため、月経痛や月経量が多くて悩んでいる方にもおすすめ。第2子出産後から私も装着していますす。

ピルの場合は3、4カ月ごとに薬を取りに受診する必要がありますが、ミレーナの場合、安定したら年2回の受診でよいため、忙しい女性を生理の煩わしさから解放してくれるでしょう。

また、年齢、肥満などで血栓症のリスクがありピルが飲めない方、多忙で毎日ピルを飲むのは忘れそうという方にも向いています。

稀に子宮筋腫があったり経血量があまりに多かったりして自然に取れてしまう可能性や、違和感があって抜く選択をする人もいますが、入れていることで痛いということは基本的にありません。外すときも婦人科を受診すればすぐにとれます。

ただし、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2つの女性ホルモンが含まれているピルとは違い、黄体ホルモン(プロゲステロン)だけが含まれたミレーナの場合、排卵は抑制されないため、もしも排卵痛など生理前の不調があり、生理の悩みがPMSメインの方は、ミレーナ以外の方法、もしくは併用することをおすすめしています。

相談者さんがほかに気にしている性欲に関しては、排卵が抑えられるピルのほうが性欲に影響します。一方で、ミレーナの場合は性欲や性交痛にほとんど影響はありません。

そして、生理にまつわる不調を解消してくれるピルとミレーナ以外にも、第三の選択肢があります。

黄体ホルモン(プロゲステロン)のみが含まれた「飲むミレーナ」といわれる「ミニピル」です。これは40歳以降でも年齢に関係なく、ずっと飲むことができます。

生理痛がある人なら月経困難症で保険適応となるため、価格もリーズナブルです。

よく、生理初日や2日目だけお腹が痛くても「月経困難症とは言えないのでは?」と受診を躊躇する方がいますが、どうか我慢せず受診してください。私のクリニックでは、生理前後に少しでもお腹が痛かったり、大事な日に生理が重なりたくないという理由で受診される患者さんも月経困難症と診断し、保険適用にしています。

日本の多くの女性は、生理について「みんな痛いんだから仕方ない」「これくらいの痛みで病院なんか行けない」と我慢しすぎだと思います。だって、生理で少しでも痛い思いをする必要はないですよね。

生理にまつわる悩みの解決策はひとつではなく、ピル、ミニピル、ミレーナとどれも合わないという人はほとんどいないので、一度婦人科に相談してみてくださいね。

画像

Profile

宋美玄(ソンミヒョン)

宋美玄(ソンミヒョン)

産婦人科医、医学博士、日本周産期・新生児学会会員、日本性科学会会員。 一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事。 丸の内の森レディーズクリニック院長。 1976年1月23日兵庫県神戸市生まれ。 2001年大阪大学医学部医学科卒、同年医師免許取得、卒業後大阪大学産婦人科入局。 2007年川崎医科大学講師就任、09年にイギリス・ロンドン大学病院の胎児超音波部門に留学。10年に出版した『女医が教える本当に気持ちいいセックス』(ブックマン社)がシリーズ累計70万部突破の大ヒットとなり、各メディアから大きな注目を集める。その後も、各メディアへの出演や妊娠出産に関わる多くの著書を出版。 2012年女児、15年に男児を出産し2児の母になり子育てと産婦人科医を両立。 “診療95%、メディアへの露出5%”としながらも、“カリスマ産婦人科医”として、対応しうる限りのメディア出演、医療監修等で様々な女性のカラダの悩み、妊娠出産、セックスや女性の性などに女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行っている。

2021.08.17

トラブルカテゴリの記事

ショート動画

教育を親の自己満足にしてはいけない。教育虐待になりうるハイパーペアレンティングの恐ろしさとは

教育熱心はどこまで?

この連載を見る

不安定な社会情勢やSNSなどを通じて得る過剰な教育情報によって、子どもの教育に奔走し、過干渉な子育てをする親が増加しています。行き過ぎた「教育熱心」が及ぼす危険性とは?そして子どもを疲弊させないために、親がどうあるべきか、各専門家に取材しました。
てぃ先生が見守る!卒園生たちの”チャレンジダンスプロジェクト”

入園当初にコロナ禍となりリアルイベントが少なかった園児たちが、卒園を迎えるシーズンとなりました。園児たちのかけがえのない思い出を作りたいという想いから、”チャレンジダンスプロジェクト”が始動。子どもたちが「卒園ダンス」に取り組む様子から、てぃ先生に子どもの成長を促進するコミュニケーションを教えていただきます。コナミスポーツクラブの全面協力のもと、ダンス未経験の園児たちが一生懸命取り組み、イベント当日を目指す様子を密着取材しました。