【専門家監修】子どもに歌の才能はある?才能がある子の特徴や引き出し方、歌手を目指す方法

【専門家監修】子どもに歌の才能はある?才能がある子の特徴や引き出し方、歌手を目指す方法

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汐見稔幸(しおみとしゆき)

汐見稔幸(しおみとしゆき)

一般社団法人家族・保育デザイン研究所 代表理事/東京大学名誉教授/白梅学園大学名誉学長/全国保育士養成協議会会長/日本保育学会理事(前会長)

一般社団法人家族・保育デザイン研究所 代表理事 東京大学名誉教授・白梅学園大学名誉学長・全国保育士養成協議会会長・日本保育学会理事(前会長) 専門は教育学、教育人間学、保育学、育児学。自身も 3 人の子どもの育児を経験。 保育者による本音の交流雑誌『エデュカーレ』編集長でもある。持続可能性をキーワードとする保育者のための学びの場「ぐうたら村」村長。NHK E-テレ「すくすく子育て」など出演中。 最近の主な著書 ・『見直そう!0・1・2 歳児保育 教えて!汐見先生 マンガでわかる「保育の今、これから」』2023 年(Gakken) ・『汐見先生と考える こども理解を深める保育のアセスメント』2023 年(中央法規出 版) ・『子どもの「じんけん」まるわかり』2021 年(ぎょうせい) ・『教えから学びへ』2021 年(河出書房新社) ・『今、もっとも必要なこれからのこども・子育て支援』2021 年(風鳴舎) ・『エール イヤイヤ期のママへ』2021 年(主婦の友社) ・『エール プレ思春期のママへ』2021 年(主婦の友社) ・『保育者のためのコミュニケーション・トレーニング BOOK』2019 年(ぎょうせい)、 ・『0・1・2 歳児からのていねいな保育』 全 3 巻 2018 年(フレーベル館) ・『汐見稔幸 こども・保育・人間』2018 年(学研) ・『「天才」は学校で育たない』2017 年(ポプラ社)、 ・『人生を豊かにする学び方』2017 年(筑摩書房) ・『さあ、子どもたちの「未来」を話しませんか』2017 年(小学館)、ほか多数。

子どもに歌の才能があるか、気になっているママやパパもいるのではないでしょうか。本格的に歌手を目指すために事務所などと契約した方がよいのか悩む場合もあるでしょう。今回は、子どもの歌の才能とはそもそもなにか、才能がある子どもの特徴や引き出し方、歌に取り組むメリット・デメリット、歌手を目指す方法、ママたちの体験談をご紹介します。

そもそも「歌の才能」とは?

※写真はイメージ(iStock.com/Deagreez)
※写真はイメージ(iStock.com/Deagreez)

「歌の才能」とは一般的に、歌う時の発声能力や音楽的感性が高いことを指します。

具体的には、音程が正確、声帯に柔軟性があり幅広い音域で歌える、リズム感がある、歌詞やメロディーをすぐ覚えられる、カラオケのAI採点で高得点をとれるなどがあります。

その一方で、こういったテクニックよりも声質やセンス、表現力が重要視されることもあります。

幼い頃から上記の特徴が見られると、生まれつき歌の才能があると言われることがありますが、歌の上手さが親から子へ遺伝するかについては、今のところはっきりとは解明されていないようです。

しかし、親子ともに歌手である方の歌を聞き比べてみると、歌声が似ているケースがよく見られます。

比較的遺伝しやすいと言われる体格や骨格が、似ていれば声帯も親子で似てくる可能性があり、さらに生活習慣や歌の好み、練習方法が同じであれば歌声やスキルの度合いも似てくるかもしれません。

歌の才能があると言われる子どもの特徴

諸説ありますが、歌の才能があると言われる子どもの特徴についてご紹介します。


大人が教えなくてもリズムにのれる

音楽には大まかにメロディー、ハーモニー、リズムの3つ要素があり、なかでも骨組みとなるリズム感がないと歌が上手いと言われることは少ないようです。

そういう意味からも小さい頃から、曲のリズムに合わせて体をゆらしたり、手足を鳴らしたりできる子どもは、歌の才能があるとの説があります。なかには、3歳頃までに習得できる子どももいるようです。


色々な種類の音に気づいたり、外れた音がわかる

水の流れる音、虫の泣き声のほか、ご近所さんの出す音など日常生活での細かい音の種類に気づける子も、歌の才能があると言われています。

また、大人がわざと音を外して歌ったり演奏した時に、「おかしい」と気づく子も音感が優れている可能性が高いかもしれません。


記憶力が良く、簡単に歌真似できたりオリジナル曲を作れる

普段から記憶力が高く、聞いた歌をすぐに覚えて正確な音程で歌える子も、歌の才能がある可能性があります。

歌真似だけでなく、「4歳でオリジナル曲をアドリブで作り人前で歌って驚いた」というママの声もありました。


親が歌唱力のある人で音楽に携わっている

現在、第一線で活躍するボーカリストの方々の中には、そのご両親も歌が上手かったり音楽関係の仕事に携わっているというケースがよくあります。

幼い頃から上手い歌を聴くことができれば、正しい発声方法を理解し、音楽的感性が磨かれやすい可能性があり、歌を覚えるためのコツや練習の方向性も間違わずに済むかもしれません。


日常生活でよく声を使ったり体力がある

音楽とあまり関わりがない家庭環境でも、日常的によくお腹から声を出しているなど声帯が鍛えられる習慣があると、発声の柔軟性が身に付いて歌い方が自然に上手くなることもあるようです。

また、日頃から運動をして体力がある子も、しっかりとした声量が出せる可能性があります。特に、水泳では全身運動ができ肺活量や呼吸器が鍛えられるため、歌の上達を促すこともあるかもしれません。

世界で異なる「才能はみだしっこ」の育て方

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子どもの歌の才能を引き出すには?

子どもの歌の才能を引き出すコツについてご紹介します。


上手い歌を生で聴ける機会をつくる

※写真はイメージ(iStock.com/kohei_hara)
※写真はイメージ(iStock.com/kohei_hara)

歌の上手い人と一緒にカラオケに行く、プロのコンサートを聴きに行くなど、スキルが高い人の歌声を生で聴ける機会が多くあると、子どもの歌の才能を引き出すきっかけになることがあるようです。 

CD音源ではなく目の前で歌っているところを見て聴くことができれば、上手い歌とは一体どんなものか、何をどうしたら上手く歌えるかなどを、肌で感じながら学びやすいでしょう。 


様々なジャンルの音楽に触れる

子どもの歌の才能を引き出すために、「童謡やアニメソングだけではなく、あえて最新のポップミュージックや洋楽など、色々なジャンルの曲を聴かせている」というママの声がありました。

ダンスミュージックで踊ったり、体操や演奏をしながら歌ってみると、ただ立って歌うだけの時よりも面白く感じられることもあるでしょう。

元々、歌に興味がなかった子でも、自分の本当に好みの曲に出会えると反応が変わり才能が引き出されることもあるかもしれません。


早い時期から歌の練習を始める

子どもが歌に興味を持っているようであれば、言葉が話せるようになる2〜3歳頃など早いうちから歌の練習を始めてみましょう。

人にもよりますが、若ければ若いほど飲み込みが早いことがあり、数年でも練習を続けられれば経験値が上がりそれ相応に上手くなる子もいるようです。

また、歌の得意な両親であれば家庭でも練習できますが、音楽教室でのレッスンを検討する際は、0歳からでもレッスンが可能なリトミックコースのほか、本格的な歌の技術を学ぶことができるボーカルコースがあります。

ボーカルコースは、3歳頃から受け入れてくれる教室がありますが、歌ううえで歌詞が読めたり理解できた方が良いと考える場合は、読み書きができるようになってから習わせる方もいるようです。


親ができる限りの協力をする

子どもは、親が楽しんでいるものに興味を持ったり真似る傾向があります。

親が普段から歌を楽しむ姿を見せたり、一緒に歌おうと積極的に誘ってみると最初は歌に関心がなかった子でも興味を持ったり才能が開花するきっかけになるかもしれません。

また、子どもに歌の才能があると気づいた場合は、どんどん応援して関わっていきましょう。

例えば、プロを目指す子の家庭では、上手くできたら積極的にほめて子どものモチベーションを上げたり、親が何時間も練習に付き添う、習い事の送り迎えをするといったケースがよくあります。

それほど子どもに向き合い一生懸命対応すれば、きっと子どもにも伝わって将来大舞台に出られるほどの腕前に成長することもあるかもしれません。


歌の専門家に才能があるか見てもらう

子どもに歌の才能があるかできるだけ正確に知りたい場合は、音楽教室の体験レッスンや子ども向けの歌唱コンクールに参加してみましょう。

歌の専門家が、音感やリズム感など子どもの歌う様子を見て、明らかに才能があると判断してくれるかもしれません。

もし才能を認められなくても、参加したことで子どもが楽しそうにしていたり悔しがったりしていれば、歌に強い興味があるのか確認できる場合もあるでしょう。

子どもが歌に取り組む際のメリット

子どもが歌に取り組むことで得られるメリットについてご紹介します。


自分に自信がもてるようになる

もし歌が上手くなると、周囲の人から一目置かれたりカラオケでも注目を集めやすいでしょう。

人前に立ったり話すのが苦手な子も、発声や滑舌が良くなって自信がつくとコンプレックスを克服するきっかけになることもあります。


言葉の練習になり記憶力がアップする

※写真はイメージ(iStock.com/maroke)
※写真はイメージ(iStock.com/maroke)

歌は、リズムや音階があり歌詞を覚えやすいため、小さな子どもが言葉を覚えるきっかけにもなります。

また、様々な曲を覚えていくことで、脳の働きが活性化され記憶力を鍛える練習にもなるでしょう。


ストレス解消や体力向上になる

歌うことは、ストレス解消にも効果的で、精神をやわらげて安定させてくれることがあります。

また、お腹から声を出して歌うことは体力を使うため、体力アップにつながると考えられています。腹式呼吸をすることで内臓の血行を促し、新陳代謝をよくする効果も期待できるでしょう。


感受性やコミュニケーション能力をを育てる

歌う時は、その曲に気持ちを込めて感情表現しようすることがほとんどです。

そうすることで、歌詞の持つ意味や歌い手、聞き手の感情を考えることにつながり、人に気持ちを伝えるコミュニケーション能力を育てます。


音楽学習の基礎が身に付く

幼少期からボイストレーニングをして正しい音程やリズム、歌い方が身に付くと、小学校にあがってからの音楽の授業や、今後ほかの楽器を習う際にも役立つでしょう。

元々、音痴だったり歌う姿勢が悪かった場合も、きちんと発声方法を教わることで治る場合もあるでしょう。

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子どもが歌に取り組む際のデメリット

子どもが歌に取り組む際に考えられるデメリットをご紹介します。


レッスン費用がかかる

歌を習う場合、個人レッスンだと月5000円〜15000円程度かかる教室もあり、他の習い事と比べると少し高いと感じる場合もあるかもしれません。

プロを目指さないのであれば、もっと安い費用で習えるグループレッスンがよいかもしれません。

また、その他の費用として楽譜やマイク、スタンド、発表会の衣装代などが別途かかる場合もあります。


マイナーな習い事のため続かない可能性もある

歌のレッスンに通う子どもは、他の習い事と比べると少ないかもしれません。

よほど歌が好きで上手くなりたいという強い意思がなければ、周りのお友達が習っていないために子どもが行く気をなくしたり、やめて他の習い事に変えたがることも考えられるでしょう。

子どもが歌手を目指す方法

子どもが本格的に歌手を目指す場合、事務所やレコード会社との契約をするか、個人で活動するかの2通りがあります。それぞれの詳しい内容についてご紹介します。


事務所やレコード会社との契約

※写真はイメージ(iStock.com/FilippoBacci)
※写真はイメージ(iStock.com/FilippoBacci)

テレビに出ている歌手の方は、事務所やレコード会社と契約していることがほとんどのようです。

契約までには、まずオーディションに合格するか、スカウトされる必要があります。その後レッスンなどを受け、審査で認められた場合にのみ契約できるでしょう。

ただ契約をしても歌手を仕事にしていけるかは保証されません。決まった給料をもらえることは難しい可能性があり、CDやチケットが売れた際に一部だけ受け取れるケースが多いようです。

そのため、アルバイトをしながら歌手活動を続けているという方も多く、そのような人たちをターゲットにオーディション商法を行う、悪徳な事務所やレコード会社もあるため注意が必要です。


個人での活動

今の時代は、スマホやネットの普及で事務所やレコード会社と契約しなくても、SNSや動画サイトを使えば歌手活動することも可能です。

保護者の監督のもと、ネット上でファンクラブを運営、CDやレコーディングの依頼、イベントの企画などの活動をしてファンが増えれば、事務所やレコード会社からスカウトされることもあるでしょう。

なんとなくオーディションを受けたりレッスンに通っていて、あまり成果が感じられない場合などは、まずはこの方法を試してみるとよいかもしれません。

子どもの歌の才能に関するママたちの体験談

※写真はイメージ(iStock.com/Asia-Pacific Images Studio)
※写真はイメージ(iStock.com/Asia-Pacific Images Studio)

子どもの歌の才能に関するママたちの体験談についてご紹介します。

 
 

主人が大学時代、軽音楽部に所属していてデビューの話があったと言っていたので子どもたちも『音楽的な才能があり、将来音楽関係の仕事につくかも』と思ったことがあります。

その期待の意味を込めて、子どもの名前を音楽にまつわるものにしたり、娘にもピアノとソルフェージュを習わせました。

特に末っ子は、小さな頃から『歌手になりたい!』と言っていたので、2歳で音楽教室に親子で行ったのですが、実際は全く興味を示さず…がっかりしました。

 
 

子どもの同級生でとてもかわいい子がいて、街でスカウトされて一時期、グループでの歌手活動をしていました。レッスン料などはすべて芸能事務所持ちだとその子のママが話してくれました。ただ、今は活動はされていないようです。

 
 

小学校のころに金管楽器に取り組んだお子さんは、中高生になると比較的吹奏楽部に所属したり、高校でバンドを組んだり趣味でもやるという子が多いみたいです。

 
 

うちは私も夫も音楽好きで、よくギターやピアノを弾いたり歌をうたったり毎日音楽に触れる習慣があります。

そのためか4歳の娘は音程を外さずに歌うことができ、即興で替え歌を作ったり踊りの振り付けを考えたりすることもあり才能がありそうだなと思っています。

楽しんで子どもの歌の才能をのばそう

※写真はイメージ(iStock.com/yumehana)
※写真はイメージ(iStock.com/yumehana)

子どもの歌の才能は、親から遺伝する部分もあれば、音楽的に恵まれた環境で育ち正しい歌の練習を重ねることで磨かれることもあるでしょう。

歌手になれるかどうかは未知数ではありますが、とにかく子どもに「歌うことが好き」という気持ちがなければ無理です。

そのためには、家庭の中に楽しい音楽があふれていることが大切。音楽家のバッハやモーツアルト、ベートーベンも、みんな家に音楽があふれていたことが背景にあり、身体に音楽が染みついているというような環境を作ってあげることが必要です。

家庭で歌の練習が難しい場合は歌のレッスンに通ってみたり、今の時代ではSNSやアプリを使って、歌のスキルやお金がなくても誰でも簡単に歌手活動が始められます。

子どもが歌へ興味を持っていたり才能が見受けられれば、保護者の管理のもとまずは始めやすい練習や活動から試してみるとよいかもしれません。

また、歌を仕事とする世界では、歌のスキルがなくても自分のルックスや話術、キャラクターを活かしたり、作詞・作曲、ミュージックビデオをプロに依頼して話題性を出すなど、工夫次第では誰でも活躍できる可能性があります。

歌う技術を磨くことだけにこだわらず、全体の人間的魅力を磨くことでもファンが増えるという点を意識するのは大切でしょう。

子どもに向き合いながら、親子で楽しんで歌の才能をのばせるとよいですね。


監修:

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汐見稔幸(しおみとしゆき)

汐見稔幸(しおみとしゆき)

一般社団法人家族・保育デザイン研究所 代表理事 東京大学名誉教授・白梅学園大学名誉学長・全国保育士養成協議会会長・日本保育学会理事(前会長) 専門は教育学、教育人間学、保育学、育児学。自身も 3 人の子どもの育児を経験。 保育者による本音の交流雑誌『エデュカーレ』編集長でもある。持続可能性をキーワードとする保育者のための学びの場「ぐうたら村」村長。NHK E-テレ「すくすく子育て」など出演中。 最近の主な著書 ・『見直そう!0・1・2 歳児保育 教えて!汐見先生 マンガでわかる「保育の今、これから」』2023 年(Gakken) ・『汐見先生と考える こども理解を深める保育のアセスメント』2023 年(中央法規出 版) ・『子どもの「じんけん」まるわかり』2021 年(ぎょうせい) ・『教えから学びへ』2021 年(河出書房新社) ・『今、もっとも必要なこれからのこども・子育て支援』2021 年(風鳴舎) ・『エール イヤイヤ期のママへ』2021 年(主婦の友社) ・『エール プレ思春期のママへ』2021 年(主婦の友社) ・『保育者のためのコミュニケーション・トレーニング BOOK』2019 年(ぎょうせい)、 ・『0・1・2 歳児からのていねいな保育』 全 3 巻 2018 年(フレーベル館) ・『汐見稔幸 こども・保育・人間』2018 年(学研) ・『「天才」は学校で育たない』2017 年(ポプラ社)、 ・『人生を豊かにする学び方』2017 年(筑摩書房) ・『さあ、子どもたちの「未来」を話しませんか』2017 年(小学館)、ほか多数。

2023.03.01

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