【耳鼻科医監修】赤ちゃんが中耳炎かもしれないときのサインの見分け方

【耳鼻科医監修】赤ちゃんが中耳炎かもしれないときのサインの見分け方

中耳炎の原因や悪化したときの対処法

2019.07.12

Profile

三塚沙希

三塚沙希

エムズクリニック白金 院長/耳鼻咽喉科専門医/補聴器相談医/産業医/健康スポーツ認定医

エムズクリニック白金 院長。日本大学医学部卒業。日本大学医学部付属板橋病院にて初期研修。慶應大学耳鼻咽喉科入局後、東京都済生会中央病院、国立成育医療研究センター、山王病院に出向。わかりやすく、丁寧な診察を心がけ、お子様からお年寄りまで安心してかかれるクリニックを目指している。

赤ちゃんは中耳炎にかかりやすく、治ったと思っても繰り返すことが特徴です。赤ちゃんの中耳炎の原因と症状についてご紹介します。また、赤ちゃんが中耳炎かもしれないときのサインの見分け方と症状が悪化したときに切開手術が必要かについても解説します。

赤ちゃんの中耳炎の原因

赤ちゃんのかかりやすい病気のなかの1つに中耳炎があります。

赤ちゃんが風邪を引くとウイルスの含まれた鼻水やのどの菌が中耳に入り込んで炎症を起こします。中耳炎は、細菌やウイルスが鼻の奥から鼓膜の奥にある中耳に侵入してかかります。

赤ちゃんは耳管が未発達で、大人と比べて真っすぐで太く、短いためウイルスや細菌が入り込みやすいです。

そのため、風邪が原因で中耳炎を引き起こしやすく、繰り返す子どもも少なくはありません。

赤ちゃんの中耳炎の症状

MIA Studio/Shutterstock.com
大泣きする赤ちゃん

赤ちゃんは言葉で痛みや不快感を訴えられないため、症状が悪化してから気づく場合があります。

以下のような姿が見られたら中耳炎のサインかもしれません。


  • 耳の痛み
  • 耳を触る
  • 熱が出る
  • 機嫌が悪い
  • 寝つきが悪い
  • よく泣く
  • 黄色い鼻水が出る
  • 耳垂れ
  • 目やに

中耳炎で38度以上の高熱が出る場合もありますが、微熱が続いたり、中耳炎の症状が悪化すると耳垂れが出る場合があります。

専門家も以下のように言っています。

中耳炎があれば痛いですので、耳をいじりますし、もし悪化して聴力に影響が出るくらいになれば、耳垂れや痛みはあるはずです。

出典: AskDoctors

症状が悪化すると

2歳以下の子どもが中耳炎にかかると症状が長引いたり、繰り返すのが特徴です。



中耳炎の症状が悪化すると、中耳に膿が溜まって鼓膜が腫れ、高熱と強い耳の痛みを伴う場合があります。

症状の強さによっては、膿をだすために鼓膜を数ミリ切開したり、中耳内の空気の出入りをよくして、膿や液体をたまるのを防ぐために鼓膜にチューブをいれる手術を行うケースがあります。鼓膜を切開して膿を出すと、痛みが軽減します。

しかし、赤ちゃんや子どもの中耳炎で鼓膜を切開するケースはほとんどありません。


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中耳炎の予防法

赤ちゃんが中耳炎にならないためにはどのようなことに注意したらよいでしょうか。


風邪予防をしっかりする

赤ちゃんの中耳炎は風邪から引き起こすことがほとんどのため、風邪をひかないように対策することが重要です。

ママやパパが風邪を引いて赤ちゃんにうつることもあるので、ママやパパが手洗いうがいをして風邪を引かないように心がけることも必要です。

赤ちゃんは室内ですごす時間も長いので、部屋の温度に配慮し、湿度は50~60%以上に保ちましょう。


鼻水をこまめに処理する

風邪を引いて、菌を含んだ鼻水が耳まで流れ込んで炎症を起こすのが中耳炎です。中耳炎にかかると、細菌が混ざって黄色い鼻水が出ます。

鼻水はすすらないでこまめにかむことが大事です。

自分で鼻がかめない赤ちゃんの場合は、鼻水吸引器を使うのもよいでしょう。


水分をこまめに与える

のどの粘膜にウイルスがつくと風邪を引きやすくなるため、うがいがまだできない赤ちゃんはこまめな水分補給をするようにしましょう。


耳垂れはふく

赤ちゃんの鼻水を吸入する
kai keisuke/Shutterstock.com

中耳炎の症状が悪化すると耳垂れが出る場合があります。

耳垂れが出てきたら綿棒で耳の中までふき取ったりせず、耳の外側をティッシュで優しくふき取りましょう。

耳垂れがでると中耳炎の症状が治まる場合がありますが、一時的なものなのでそのまま放置せず、耳鼻科で耳の中の膿を吸ってもらうなきちんと処置してもらうことが大切です。


ミルクを飲む体勢に注意する

赤ちゃんを寝かせたままミルクをあげると鼻にミルクが流れ込み、耳管を通って中耳にミルクが溜まり、中耳炎になる可能性があります。

ミルクをあげるときは、赤ちゃんが水平の状態にならないように抱っこをして母乳をあげる体勢で飲ませるようにしましょう。

赤ちゃんの中耳炎のサインを見逃さないことが大切

おっぱい飲む赤ちゃん
GOLFX/Shutterstock.com

風邪から中耳炎を引き起こすことは多く、赤ちゃんや年齢の低い子どもは中耳炎にかかりやすいです。赤ちゃんは、言葉が話せないため症状が悪化してから中耳炎と気づくことは少なくありません。

耳を触ったり、機嫌や寝つきが悪い、よく泣く、耳垂れなどの症状がみられたときは中耳炎にかかっているサインかもしれません。

中耳炎にかからないように鼻水をこまめに拭いたり、ミルクを飲むときの姿勢を配慮することが大事です。耳垂れが出てきたときは耳のなかまでふき取ろうとせず、外側だけを軽く拭いて病院でしっかり処置してもらうことが重要です。

赤ちゃんの中耳炎のサインを見逃さず、早めの受診が中耳炎を早く完治させることにつながります。


監修:三塚沙希(エムズクリニック白金 院長)

Profile

三塚沙希

三塚沙希

エムズクリニック白金 院長。日本大学医学部卒業。日本大学医学部付属板橋病院にて初期研修。慶應大学耳鼻咽喉科入局後、東京都済生会中央病院、国立成育医療研究センター、山王病院に出向。わかりやすく、丁寧な診察を心がけ、お子様からお年寄りまで安心してかかれるクリニックを目指している。

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