【小児科医監修】必要性はどのくらい?予防接種のロタワクチンの接種にかかる値段、接種回数など

【小児科医監修】必要性はどのくらい?予防接種のロタワクチンの接種にかかる値段、接種回数など

生後2カ月から始まる予防接種。その中にロタウイルスワクチンがあります。ママの中には「ロタウイルスワクチンっていったいなんだろう?」というママもいるかもしれません。そこで、ロタウイルスってどんな病気なのか、予防接種する場合の回数や、必要性、出やすい副反応について専門家に聞いてみました。

ロタワクチンで予防できる病気と値段

「ロタウイルスワクチンって聞くけれど、いったいどの病気を予防するのかわからない」というママもいるでしょう。そこでワクチンで予防できる「ロタウイルス胃腸炎」がどんな病気かをお教えします。


病気のはじまりと潜伏期間

ロタウイルスは胃腸炎の一種で、概ね5歳までの間に1度はかかるといわれている病気です。ウイルスが体内に入って2~4日間の潜伏期間を経て、発症。

毎年、ウイルスの動きが活発になる冬~春にかけて流行します。


主な症状は嘔吐と下痢

ロタウイルスの主な症状は水のような下痢と嘔吐です。

何度も嘔吐と下痢を繰り返すために水分と塩分が失われ、脱水症状を引き起こしやすくなります。そのせいでかなりぐったりする赤ちゃんも…。さらに、けいれんや脳炎、腎障害など、重い合併症になるケースもあり、専門家によると

乳児が入院する原因としては多いウイルスです

出典: AskDoctors

と言われています。まれに死に至るケースもあるので、注意しましょう。


感染の仕方と予防法

ロタウイルスは、感染力が強いのが特徴です。感染した子どもの下痢便には、数億のウイルスが排出。その便の処理を行った後、しっかり手洗いしても完全には除去できないため、その手で別の子どものお世話をした場合、その子も菌に感染してしまいます。

特に保育園など集団生活の場で、感染した子どもが1人出ると、あっという間に感染拡大しまう恐れが。

そこで知っておいてほしいのが、ロタウイルスを予防できるワクチンの存在です。

ロタウイルスワクチンの値段と接種タイミング

スケジュールを確認するママ
Pra Chid/Shutterstock.com

予防に有効なロタウイルスワクチン。1回あたりの値段や接種回数などを調べてみました。


ワクチンは「ロタリックス」と「ロタテック」の2種類がある

現在、日本で接種できるロタウイルスワクチンは、ロタリックスとロタテックの2種類になります。製造会社が違うため成分や接種回数は異なりますが、効果には差がありません。

接種回数はロタリックスが全2回、ロタテックが全3回必要です。


値段

ロタウイルスワクチンは、任意接種になるので、接種費用は自費になります。地域や病院によって異なりますが、おおよそトータル(全回数接種した場合)の値段が25000-35000円(金額は目安)です。自治体によっては、費用の一部を負担する助成制度が設けられているところがあるので、確認を。


接種タイミングと回数

いずれも初回は生後14週と6日(生後2カ月)までに接種することが望ましいとされているので、タイミングを逃さないことがポイントです。また、1回目と2回目(ロタテックの場合は1回目と2回目と3回目)の間隔は最低でも中27日以上空けるようにしてください。

ロタリックスの2回目、ロタテックの3回目は、生後6カ月前までに終わらせるようにしましょう。


注射ではなく、飲むワクチン

ロタワクチンは、皮下注射するワクチンではなく、スポイトなどで口にワクチンの液を垂らす「経口ワクチン」です。おなかがいっぱいだと口を開いてくれないこともあるので、できるだけ授乳時間前に受けるといいでしょう。

ワクチンの必要性

眠る赤ちゃん
ucchie79/Shutterstock.com

先にも述べたようにロタワクチンは任意接種。接種するかしないかはママやパパに委ねられているので、「接種しようか迷っている」という人も多くいるでしょう。専門家によると、このように述べています。

保育園に通われている、ご兄弟がいる、などあれば、接種するのが望ましいですよ。また、ロタウイルス感染により、まれに脳症を起こすことがありますので、その予防としても意味があります

出典: AskDoctors

ロタウイルスの予防接種は重症化予防が大きな目的です。 予防接種をせずにロタウイルス感染症になった場合、 予防接種を受けてロタウイルス感染症になった場合の 10倍以上の確率で入院になります

出典: AskDoctors

予防接種をされておけば感染のリスクは減らせます。予防接種の時期をしっかり守れば副作用のリスクも少なくて済みます

出典: AskDoctors

という見解を示しています。

上記をふまえて考えると、やはり接種しておいた方が望ましいといえるでしょう。

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副反応について

いずれのワクチンも下痢や嘔吐、発熱などの副反応がみられることがあるといわれていますが、一番注意しないといけない副反応は「腸重積」のリスクが高まる可能性がある点です。腸重積とは、腸が腸の中に入ってしまう病気で、症状としてはイチゴジャムのような血便が出る、繰り返し嘔吐する、顔色が悪いなどがあげられます。

腸重積を発症した子どもの多くが初回接種後7日以内に症状が現れたといわれているので、接種後1週間ぐらいは注意深く子どもの様子や変化をみるように心がけてください。

接種後の注意点

ロタワクチンは、生きたウイルスの毒性を極限まで弱めたものを体内に入れて免疫を作ってもらうため、接種した赤ちゃんの便からしばらくの間、ロタウイルスが排出されることになります。万一のことを考えて、接種後にママが便の処理をする際は、使い捨て手袋をはめる、念入りに流水で手を洗い、使い捨てのペーパータオルで手をふくなどの注意をしておきましょう。

必要性が高いロタワクチンの予防接種。値段や接種回数など正しい情報の入手を

ママと赤ちゃん
©  taka – Fotolia

ロタウイルスワクチンの予防接種は、下痢や嘔吐を引き起こすロタウイルス胃腸炎の症状を軽減させ、重症化や合併症の発症を防ぐ役割を果たすといわれています。

値段が高いという問題がありますが、感染力も強いので万一の事態に備えるなら、専門家もアドバイスしている通り、接種しておくのが望ましいといえるでしょう。

また、副反応として注意したいのが腸重積です。接種してから7日以内に発症することが多いので、子どもの様子や反応をこまめに確認を。

接種できる時期や接種回数も決められているので、早めに予防接種のスケジュールに組み込み、忘れずに接種するようにしてくださいね。


監修:金髙太一 (おひさまクリニック 院長)

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金髙太一(おひさまクリニック)

小児科専門医、地域総合小児医療認定医。小児の感染症、アレルギー、免疫・膠原病を中心に東京、横浜の病院で研修・診療の経験を積み、2015年に東京の十条にておひさまクリニック(小児科、耳鼻咽喉科)を開院。子どもたちが健やかに成長していくためのサポートをしたいと思っております。また、3児の父でもあるので、子どもに関することでしたら、お気軽にご相談ください。

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