【調査】男性育休、取得できたら何をする?産後うつの防止にも
明治安田生命が0歳から6歳までの子どもがいる既婚の男女を対象にした調査を実施。男性の育児休暇の取得について、約7割の人が「必要」だと回答した。実際に育休を取得した男性のうち、約9割が「子育てに良い変化があった」と答えている。KIDSNAではこのアンケートを受け、子どものいる既婚男性を対象に育児休暇に対する調査を行った。
男性が育児休業を取りやすくなる「育児・介護休業法」の改正法案が国会で成立し、2022年4月より段階的に施行される。
今回の改正で「育児休業を取得しやすい雇用環境の整備」や「育児休業の社員への個別の周知・意向確認」の措置などが企業に求められる。上司や同僚に遠慮して育休を取れなかった職場でも、これまでに比べると取得しやすい空気が醸成されるだろう。
このように、男性の育児参加が社会で広がる傾向にある中、子どもを持つ既婚男性に対し、育児休暇の取得有無を始め、育休経験のある男性が期間中に実際にしたこと、未経験の男性にはその理由などを聞いた。
すべての人が自分の望む働き方を実現するために
育休取得経験のある男性に対し、取得の理由を尋ねたところ「パートナーの負担を減らしたい」という声が最も多かった。
その他に、
「育児に参加したい」
「親として育児をする役割を果たす必要があるため」
「産後うつ、産後クライシスの防止」
「妻のキャリアロスの軽減」
などの意見があった。
実際に育児休暇を取得した男性は、期間中どんなことをしたのか。
双子の育児全般。哺乳瓶の管理、生後半年までは夜中の授乳。毎日のように家族でお出かけ。
家事、育児全般(育休中に妻が体調を崩して寝たきりになった2ヶ月は、ワンオペで育児を経験しました)。
そのほか、家事・育児以外に、資格勉強、副業、旅行、転職活動に充てたという声もあった。
取得経験のある男性に、育休に関しての意見も聞いた。
男性が当たり前に長期の育休を取るようになると、女性が出産・育児で仕事を一定期間離れる人というイメージが薄まり、もっと女性が活躍できる社会になると思います。
そこから性別やライフステージにかかわらず、全ての人が自分の望む働き方を選択できるようになるといいと思ってます。
周囲に頼る人がいない家庭の場合、男性育休はかなり有意義に感じます。取らないとママを孤独にさせて、産後うつのリスクも高まると思います。
来年法律改正されますが、下記のような課題が残ります。
①本人への意識改革(企業型両親学級)
②管理者の意識改革
③企業の公表の義務化に取得率だけでなく取得期間を入れる
育児休業を取りたい人が、取りたい期間を取れる社会を目指したいです!
また、育児は育休中だけでなく、育休後も当然続きます。ですが、まだまだ会社の理解が不足しており、復帰後の働き方が希望通りになっていないパパさんも多くいます。企業に対する課題はまだまだあるのが現状です。
全てのママパパが笑顔で子育て出来る社会を目指しましょう!!
このようにほとんどの男性が育児休暇にポジティブな意見を寄せていたが、「育児休業を取ったことを境に会社と揉めている」という声もあり、制度が改革される一方でまだまだ意識が追いついていない会社の存在も見て取れる。
「育休はキャリア放棄につながる」と懸念する声も
一方、これまで育休を取らなかった男性には、どのような背景があったのか。
最も多かったのは「勤務する会社に育休制度はあるが、取得しにくい雰囲気がある」というもので、その次には「勤務する会社に制度自体がない」。
会社の制度や雰囲気の問題以外には、
「妻が専業主婦で検討すらしなかった」
「育児休暇を取ると給料が減ってしまう」
「仕事がしたかった」
など、それぞれの夫婦や男性自身の意向、経済状況などが理由として挙げられた。
環境が整っていたら育児休暇を取得したいと答えた男性に、どんなことをしてみたいか聞いた。
子どもの世話をし、産褥期の妻の負担を減らしたいと思います。
新生児の時期は親がなかなかまとまった時間で休めない(寝られない)ので、育児全般を交代し、妻を休ませる。
次に取得する場合は2人目の子どもになるので、上の子の面倒をみることを中心に進めていきたい。
子どものお世話や身の回りのこと。新生児の間しか味わえない時間を妻と共有したい。
取得未経験の男性にも、育休への意見を聞いた。
その声からは、制度と会社の認識のギャップ、キャリアが途絶えることへの不安などが見えてきた。
取得して然るべきだ、と頭では理解しているものの、取得している間にいろいろなことができなくなり、そのタイミングでのキャリア放棄になってしまう不安はある。
我が家は妻が専業主婦なので、育児を手伝うことよりもお金を稼いでくる(給料を上げる)方が男の役目と考えている。「育児休暇=数カ月」というイメージがあるので(数日・数週間の休みだけで育児のサポートをしたとは思えない)、月給が変わらなかったとしても、その間周りが成果を出してしまったら、今後給料が上るスピードが遅くなる可能性があると思ってしまう。
100%育児、0%仕事などの育児休暇ではなく、50%育児、50%仕事など、匙加減を調整できるような制度設計になっていると、取得について考えやすくなる。
夫婦にはそれぞれの背景があり、男性の育児休暇だけが夫婦の育児問題をすべて解決するわけではないかもしれない。しかし、産後間もない時から育児の機会を増やすことで、夫婦の家事・育児のかかわり方に変化があるかもしれない。今後の制度改革による意識変化にも注目していきたい。
【調査概要】
・対象:保護者に向けてアンケート調査を実施
・調査期間:2021年10月20日~2021年10月26日
・回答数:16人
<執筆>KIDSNA編集部
「母乳を与える」という生物学的に女性にしか不可能なことを除いた、育児に関する全て。調乳してミルクを与え、おむつ交換と沐浴、寝かしつけなど。料理洗濯掃除などの家事全般。