新生児科医ふらいと先生のお悩み相談室➀母乳育児がしたいのにほとんどでません

新生児科医ふらいと先生のお悩み相談室➀母乳育児がしたいのにほとんどでません

Twitterフォロワー10.8万人!漫画『コウノドリ』取材協力&今橋先生の中の人としておなじみの新生児科医・今西洋介先生に、乳児を育てるママや妊婦さんがいだきがちな不安をテーマにさまざまなお悩みに回答していただきます。

 
ふらいと先生
ふらいと先生

まず、母乳がまったく出ないということはありませんが、母乳が出るようになるには吸わせる練習が必要です。

赤ちゃんの協調運動により、乳頭に刺激を与えることで、母乳は必ず産生されて出るようになるので、大原則として、やめないで続けることをおすすめします。

そもそも完全に母乳からミルクに切り替えると考えるのではなく、母乳を続けながら補足としてミルクを足すことが重要なので、母乳の量が増えてくれば、ミルクをやめていってもいいんです。

目安としては、実際に母乳を絞ってみて、どれくらい出ているかを評価し、それに足りない分をミルクで補足するという感じになります。

だいたい3時間ごとにコンスタントにあげられる量が出ていれば大丈夫です。

編集部:母乳が出ないとき、病院で指導をしてもらったり、ネットの情報を見たり、おっぱいマッサージに行くなどの方法を試される方が多いと思いますが、母乳をもっと出したいときに重要なポイントを教えてください。

ふらいと先生
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しっかり吸わせるとか、出てなくてもおっぱいを吸わせるということにより、母乳は必ず出るようになります。

ただ、母乳が出始める時期は早かったり遅かったり個人差がすごくあるので、そこは注意が必要ですね。

早い人だと、産んだその日から出ることもありますし、遅い方だと1、2カ月後くらいに出るようになることもあるのですが、それまでにやめてしまう方が多いんです。

出るようになるまでにすごく個人差はあるけれど、母乳がまったくでないという人はいないので、「出るまでに時間がかる」ということですね。

もちろん、ミルクを投与することも大事ですが、ミルクはあくまで補足で、母乳がベースにあると考えていただければ。

編集部:母乳が出ないときは早めに母乳外来に行ったほうがよいでしょうか?

ふらいと先生
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外来へ行くことよりも、乳頭への刺激を続けることが大切です。

赤ちゃんは乳首を咥えると必ずチュッチュチュッチュと吸うことで乳頭に刺激を与えると、神経を介して下垂体からオキシトシンというホルモンが放出されます(吸啜(きゅうてつ)反射)。 オキシトシンは乳腺を収縮し、乳汁を射出するようになります。

お母さんが努力してすぐにうまくいくものではありませんが、吸わせ続ける努力はしてほしいですね。

赤ちゃんの吸い方も違いますし、お母さんが陥没乳頭の場合はどうしても吸えないことがあります。

乳首だけを吸うのではなく、おっぱい全体を含んだような吸い方をするといいのですが、このあたりは入院中に助産師さんから指導されると思いますので、聞いてみてください。

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Profile

ふらいと先生(今西洋介)

ふらいと先生(今西洋介)

新生児科医(新生児専門医)×公衆衛生(母性疫学の研究)。漫画『コウノドリ』取材協力、今橋先生の中の人、小児科専門医、小児医療ジャーナリスト、チャイルドリテラシー協会代表理事、みんパピ運営。母と子を通し社会問題を考える。

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