学校では教えてくれない
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子どもをとりまく環境が急激に変化し、多様化が進む未来に向け、これまで学校教育では深く取り扱われなかったジャンルに焦点を当て多方面で活躍する人々にインタビュー。言葉は知っているけど子どもにどう伝えたらいいか?と悩むママに向け、専門家や当事者の話を通して、正しい知識や子どもとの接し方などを発信していきます。
2022.06.08
Twitterフォロワー10.8万人!漫画『コウノドリ』取材協力&今橋先生の中の人としておなじみの新生児科医・今西洋介先生に、乳児を育てるママや妊婦さんがいだきがちな不安をテーマにさまざまなお悩みに回答していただきます。
編集部:「SIDSかも?」というときの受診の目安を教えてください。
たとえば、明らかに顔がぐったりしている、からだ全体がいつもと違う白い色している、全く受け答えに反応がないなどの症状があった場合、病院を受診をしたほうがよいでしょう。
編集部:仰向けに寝かせていたのに、寝ている間に気がつくとうつ伏せになっている子もいると思います。気になって何度も直す保護者もいると思いますが対策はありますか?
直せないですね。寝返りをするようになると、うつ伏せと仰向けはころころ変わるものです。
なかには、うつ伏せにならないよう寝返り防止クッションなどを置いて赤ちゃんを固定される方もいますが、赤ちゃんはそれを越えて寝返りをするので、あまり意味はないです。
SIDSでうつ伏せになって亡くなるのは、どちらかといえば自分で首を持ち上げられない、まだ首が座ってない子に多いので、寝返りができているということは、首が座っているということなので、寝返りはそこまで気にする必要はありません。
SIDSとは直接関係ありませんが、睡眠中の危険でいうと、添い乳の危険性もあげられます。お母さんが完全に覚醒していればよいですが、添い乳をしながら自分も寝てしまい、気がついたらお母さんのおっぱいに子どもが埋もれて息ができなくなっていたという事故が起きています。
もちろん限界だからこそ添い乳をしているわけで、禁止まではすべきではないと思いますが、なるべく心身状態がいいときに、観察できる範囲内ですることが大事だと思います。
限界の状態で添い乳しなければならないのは、育児の大半を母親に押しつけている社会にも原因があります。父親の育児休業をとりやすくし、母親の負担を軽減するというのも、大事な視点だと思いますね。
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Profile
SIDSは日本の乳児の死因第4位と少なくありません。
全世界でいまだ原因がはっきりと分かっていない病気ですが、SIDSになりやすいリスク因子は分かってきています。
たとえば、お父さんお母さんに喫煙習慣があるとSIDSになりやすいといわれています。
また、腹臥位(ふくがい)と言いますが、うつ伏せ寝も危険です。僕の経験したケースでも、円座のようなものにうつ伏せで赤ちゃんを寝かせて、翌朝呼吸をしておらず亡くなった症例があるので、寝かせる場合は仰向けにしてあげましょう。
さらに、体温の上昇もリスク要因のひとつと言われているため、体温が上がりすぎないよう、衣類、寝具、空調などを整えてあげることも大切です。
これらが直接の原因なのか、SIDSになった子がたまたまこれらの要因をもっていただけなのかは残念ながら分かっていません。
とはいえ、SIDSを未然に防ぐためには、今分かっているリスクをしっかり把握し、家庭でできる対策をとることが大切です。