【臨床心理士監修】お店屋さんごっこが成長に与える影響。年齢別コツなど

【臨床心理士監修】お店屋さんごっこが成長に与える影響。年齢別コツなど

2022.10.12

Profile

浜田恵

浜田恵

公認心理師/臨床心理士

公認心理師、臨床心理士。名古屋学芸大学ヒューマンケア学部准教授。 幼児から学齢期の子どもに対する遊びを通した社会性発達支援、学齢期の子どもの発達特性(特に性別違和感)とメンタルヘルスや心理社会的不適応の関連に関する調査研究に取り組んでいます。

子どもが大好きなお店屋さんごっこ。大人になりきって楽しみながら、社会性やコミュニケーション能力、お金の使い方などを学べる遊びのひとつです。今回はお店屋さんごっこのメリットや、年齢別の遊び方のポイント、より発展的な遊び方などを紹介します。

お店屋さんごっこがもたらすメリット

子どもたちに人気のお店屋さんごっこ。おもちゃのお金やおままごとセットで楽しみながら、実はいろんなことが身につく遊びでもあります。

お店屋さんごっこで身につく力には、一体どのようなものがあるのでしょうか。


イメージする力

お店屋さんごっこの土台になっているのは、「お店屋さん」をイメージする力です。遊びの中で「お店屋さん」を再現するために、自分の経験を頭の中で思い描き、目の前にお店屋さんがなくてもイメージできることでお店屋さんごっこが成り立っています。

さらに、お店屋さんごっこをすることで、次に実際のお店屋さんに行った時にはお店屋さんには何があるか、よく見たり具体的にイメージしたりする力につながるでしょう。ごっこ遊びに限らず、日常の経験は子どもの遊びの発展やさまざまな力につながっています。


想像力や表現力

お店屋さんごっこが盛り上がると、お買い物に使うアイテムやお店の装飾などを、どんどんと作り出していくことがあります。どんなものがあるとよいのか、どのようにして表現したらよいのかを考えることで、想像力や表現力が鍛えられます。

また、実際にお店の人はどのように話すだろう、お客さんはどんな動きをするだろうと考えて役になりきるので、そのことがこれらの能力を高めることにつながるでしょう。

※写真はイメージ(iStock.com/:PeopleImages )
※写真はイメージ(iStock.com/:PeopleImages )

コミュニケーション能力

お店屋さんごっこは、ひとりでもできないことはありませんが、基本的には友だちやママ・パパ、先生など相手がいるからこそ盛り上がる遊びです。想像した遊びを相手に表現することを通して、相手に伝わるように話す力や相手の話を聞く力が身につけられるでしょう。

お店屋さんごっこは、商品を売るのはお店屋さん役、お金を払うのはお役さん役など、共通の役割のイメージを共有した上で成り立っています。イメージを共有しながら遊ぶことは、「ママ・パパに自分の考えが伝わってうれしい!」「友達と一緒に遊ぶって楽しい!」という気持ちの芽生えや、人と関わるための社会性の発達にもつながります。


ルールを守る規範意識

ごっこ遊びには、それぞれの役割に暗黙のルールがあります。ルールに従いながら進めたり、場面に適した言葉使いをしたりすることで、社会性を身につけるきっかけになります。


他者の気持ちの理解

お店屋さんごっこに限らずごっこ遊び全般に言えますが、何者かになりきって他者の立場での振る舞いを考えることは、情緒面の発達にも役立つと言われています。

他者の立場を体験することで、「お店屋さんはお客さんにありがとうと言われたらうれしい」など、他人の気持ちに気づくきっかけになるかもしれません。


お金の教育

お金の概念がまだ理解できていない子どもでも、お店屋さんごっこを通じて商品の対価としてお金を払うことが分かってきます。お金がないと物は買えないことや、使えばお金は減ることに自然と気付いていくはず。

※写真はイメージ(iStock.com/SDI Productions)
※写真はイメージ(iStock.com/SDI Productions)

用意するもの

お店屋さんごっこを楽しむためには、どのようなものを用意したらよいでしょうか。

・商品

・お金

この2つがあれば、お店屋さんごっこをすることは可能です。ぴったりのものがなくても、積木やきれいな石をお金に見立てて使うこともできます。子どもの想像力に働きかけながら遊ぶのも楽しいですね。

遊びをさらに盛り上げるためには、

・テーブル

・お店の看板

・レジスター

・買い物かご

・レジ袋

・ポイントカード

などがあると、さらに本格的になります。

ごっこ遊びで使うアイテムは手作りすることも楽しく、また100円均一のお店でも使えるものがたくさん売っているので、色々と工夫してみてはいかがでしょうか。

年齢別の遊び方

年齢によっても、お店屋さんごっこの遊び方は異なります。それぞれの年齢に合わせ、ママ・パパがタイミングを見て遊びをサポートしてあげましょう。

※写真はイメージ(iStock.com/galitskaya)
※写真はイメージ(iStock.com/galitskaya)

2歳以下

ごっこ遊びの経験がまだ少ないうちは、ママ・パパが主導しながら遊び方を覚えていきましょう。お金や商品も小さい子がつかみやすいように、大きめのものを用意しましょう。「ください」「どうぞ」と物の交換をするところから始めるだけでもじゅうぶんです。「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」などの挨拶を覚えるきっかけにもなるでしょう。


3~4歳

だんだんと友だち同士で遊ぶことも増えてきますが、ルールに従ったやりとりは子どもだけでは難しい場面もあるので、様子を見ながら大人が仲介してあげるようにしましょう。設定や役割がマンネリ化してきていたら、新しい提案をしてあげるとよいかもしれません。


5歳以上

友だち同士で遊んでいても、自分たちで新しい設定を考えたり、その中で必要な道具を手作りしたり、より発展的な遊び方ができるようになってきます。お金はおつりが出るような計算も少しずつ取り入れてみたり、遊びに慣れてきた子どもたちでも充実感や達成感が得られるように、大人がサポートしてあげましょう。

子どもによっては、その年齢で推奨されるような遊び方がまだ難しい場合もあります。その時は無理に子どもを決まった年齢の遊びやおもちゃに合わせようとせず、子どもの発達に合った、子どもが楽しんでできる遊びから始めましょう。

※写真はイメージ(iStock.com/PeopleImages)
※写真はイメージ(iStock.com/PeopleImages)

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楽しんで続けるコツ

お店屋さんごっこのメリットを紹介しましたが、もしかしたら遊びがマンネリ化してしまい、あまりやりたがらない時期もあるかもしれません。もちろん無理にやらせることはありませんが、以下のような方法をとってみると、新鮮な気持ちがよみがえるかもしれません。


衣装など形から入る

お店屋さんごっこをより本格的に楽しむために、衣装を用意するのもよいでしょう。そのためにわざわざ買う必要はありません。家にあるハンカチを使い三角巾やハチマキにしたり、画用紙を使ってコック帽を作ってみてはいかがでしょうか。

また、普段大人が使っているエプロンを折るなどして子どもにつけてあげると、大人になった気持ちで楽しんでくれる子も多いかもしれません。


子ども扱いしすぎない

難しい言葉は分からないと判断し、簡単な言葉や子どもが知っていそうな内容ばかりになってしまうと飽きてしまうかもしれません。子どもが知らなさそうな内容をあえて盛り込んでいくことは、マンネリ防止のひとつになります。

例えば、子どもがお店屋さん役をしているときに、あえて商品について質問してみたり、「〇〇はありますか?」と子どもが知らなそうな野菜や魚の名前などを出してみては。どんどん知識が増えていくことで、張り切って遊んでくれるかもしれません。


シチュエーションや設定を変える

最初はスーパーマーケットやコンビニの設定が分かりやすく、小さい子どもでも楽しめるでしょう。ただ、慣れてきたらシチュエーションや設定を増やしていかないと飽きてしまうかもしれません。

たとえば、レストランや服屋さん、美容院などの設定にも、スーパーマーケットやコンビニとは違う魅力があります。年長くらいになると、物だけではなくサービスが商品になるということも理解できるようになってくるでしょう。

高度な遊び方にも挑戦

※写真はイメージ(iStock.com/kiankhoon)
※写真はイメージ(iStock.com/kiankhoon)

お店屋さんごっこに慣れてきたら、より複雑なルールや、より高度な遊び方にも挑戦してみましょう。


買い物の予算を決める

お客さん役は、お買い物の予算を決めてみましょう。予算の中でどれだけ自分が欲しいものを買えるか、やりくりする経験ができるでしょう。また、欲しいものを全て手に入れることはできないこともあると分かるようになります。


売り上げ目標を決める

一方でお店屋さん側は、売り上げの目標を決めてみましょう。売れやすいように工夫をして声をかけたり、おすすめ商品をアピールしたり、知恵を絞ることでしょう。

体験談

お店屋さんごっこを子どもと楽しんだ経験のあるママ・パパからエピソードを聞きました。

2児のママ
2児のママ

うちの6歳と4歳の兄妹のお店屋さんごっこは、支払いを電子マネーでしていたり、「袋は3円です」などと言っていて、今時だなと面白く思います

2児のママ
2児のママ

5歳の娘とレストランの設定でお店屋さんごっこをしたときに「赤ちゃんいても大丈夫ですか?」「子どものお皿借りてもいいですか?」など、私が普段外食したときに言っていることを言います。しっかりと覚えているようで、よく見ているなと関心します

1児のママ
1児のママ

娘は、買い物に行った時に自分が欲しいものをレジで手放すのを嫌がります。ですが、4歳頃から嫌がらずに店員に渡せるようになってきたので、家でよくお店屋さんごっこをしているおかげかなと思っています

3児のママ
3児のママ

子どもたちの通っていた保育園では、「お店屋さんごっこ」というイベントが毎年ありました。商品や店内レイアウトを子どもたちが決めて、売り子も年長さんが担当する、本格的なものでした。イベントで貰えるお金はみんな平等で、何を買いたいか事前に下見の時間も設けてくれました。

子どもたちは、5つくらいしか買えないなかで、自分のほしいものだけでなく家族のためのものも必ず買ってきてくれました。誰かのために品物を作り、誰かのために買うという消費の根源的体験を学ぶことができ、大変ありがたかったなと思います

※写真はイメージ(iStock.com/SetsukoN)
※写真はイメージ(iStock.com/SetsukoN)
2児のママ
2児のママ

児童館で毎年お祭りがあり、自分たちが作った工作に値段をつけて販売するなどをやっていました。子どものときに体験するお店屋さんごっこは、お金のことを学ぶ最初のきっかけになりますよね。家で家族だけでやるよりも、保育園や児童館など大人数でする方が楽しそうにしています

工夫しながら楽しもう

お店屋さんごっこは、アイテムの手作り、さまざまな設定など工夫の余地が大きく、年齢に合わせていろいろな楽しみ方ができそうです。考えが柔軟な子どもだからこそ、大人では考えつかないような楽しみ方をするかもしれません。大人は基本的には見守り、子どもが困っているときや、飽きてしまったときなどに、サポートをしてあげられるとよいでしょう。


監修:浜田恵(臨床心理士)

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浜田恵

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公認心理師、臨床心理士。名古屋学芸大学ヒューマンケア学部准教授。 幼児から学齢期の子どもに対する遊びを通した社会性発達支援、学齢期の子どもの発達特性(特に性別違和感)とメンタルヘルスや心理社会的不適応の関連に関する調査研究に取り組んでいます。

2022.10.12

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