ダブルワークでパートをするときに気をつけたい制度について

社会保険などの制度と仕事選びのポイント

ダブルワークでパートをするときに気をつけたい制度について

ダブルワークでパートやバイトをするときに、制度について気になるママやパパはいるのではないでしょうか。所得税や配偶者控除、確定申告や社会保険などはどのような点に気をつければよいのでしょう。日雇いパートなどスケジュール管理がしやすい仕事選びのポイントなども併せて、ママたちの体験談とともにご紹介します。

所得税

個人の所得に対してかかる税金のことを所得税といいます。

所得税は、所得から基礎控除や配偶者控除などの所得控除を引いた残りの課税所得に税率を適用し計算します。「課税所得×税率ー控除額」の計算式で算出することができます。

国税庁のホームページに掲載されている所得税の速算表によると、195万円以下の場合は5%195万円以上~330万円以下の場合は10%と、段階的に税率が上がる仕組みになっているため、確認してみるとよいかもしれません。

なお、年収が給与所得控除の最低金額である65万円と基礎控除額の38万円の合計金額である103万円を超えない場合は課税所得が0円となるため、所得税はかかりません。

出典:所得税のしくみ / 国税庁
出典:No.2260 所得税の税率 / 国税庁

配偶者控除

配偶者控除とは、納税者に所得の少ない配偶者がいる場合などに、一定の金額の所得控除が受けられる制度です。

2つのパートやバイトを掛け持ちをしているママからは、「配偶者控除が受けられるようにシフトの調整をしながらダブルワークをこなしていた」という声がありました。


配偶者控除を受けられる条件とは

夫婦の足
iStock.com/Rawpixel

配偶者控除を受けるには、その年の12月31日の時点で、下記の要件にすべてあてはまることが条件となります。


  • 配偶者であること(内縁関係は該当しない)
  • 納税者と生計を一にしていること
  • 給与のみの場合、年収が103万円以下であること(年間の合計所得金額が38万円以下)
  • 青色申告者の事業専従者としてその年一度も給与を受けていない、または白色申告者の事業専従者でないこと 

今ではフリーランスで働くパパも多いと思いますが、例えばパパが青色申告者や白色申告者である個人事業主の場合でもパパの事業を手伝っていなければ、配偶者控除の対象となります。

なお、平成29年度税制改正により配偶者控除と配偶者特別控除の控除額について見直しが行われ、平成30年分以降は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1000万円以下であることが条件として追加されました。

出典:No.1191 配偶者控除 / 国税庁

配偶者特別控除とは

配偶者特別控除とは、配偶者に38万円を超える所得があり配偶者控除が受けられないときも、配偶者の所得金額に応じて一定金額の所得控除が受けられる制度です。

納税者の所得が1000万円以下、配偶者の所得が123万円以下であることが条件となっています。


  • 配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)
  • 控除を受ける人と生計を一にしていること
  • 青色申告者の事業専従者としてその年一度も給与を受けていない、または白色申告者の事業専従者でないこと
  • 年間の合計所得金額が38万円超123万円以下であること

控除額は、納税者のその年の合計所得金額と配偶者の合計所得金額に応じて変わります。国税庁のホームページでは配偶者特別控除の控除額に関する表が掲載されているので、詳しく知りたい場合には確認してみるとよいかもしれません。

出典:No.1195配偶者特別控除/ 国税庁

確定申告

確定申告とは、1月1日から12月31日の1年間の所得税の額を計算し、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算する手続です。

ダブルワークをしているママは確定申告をしているようですが、なぜ必要なのでしょうか。国税庁の資料をもとに説明します。

出典:初めて申告される方 / 国税庁

ダブルワークで確定申告が必要な理由

税金と計算機とノートとペン
© Nishihama - Fotolia

確定申告は納税者自身が手続きをするのに対し、年末調整は会社が個人の代わりに申告と納税を行ってくれます

ダブルワークをすると2か所から給与を受けることになりますが、メインの会社が行う年末調整はメインの会社から受けた給与のみが対象となります。

そのため、2か所以上から給与を受け、そのすべてが源泉徴収の対象となる場合は、個人での確定申告が必要となります。

ただし、2か所以上から給与を受けている場合でもその給与収入の合計額などによっては支払う必要がない場合もあるようです。

ダブルワークをしているママは、メインの仕事での収入とアルバイトの給与所得をあわせてしっかり確定申告をしているようです。

所得税を払いすぎている場合は、還付金としていくらか戻ってくる場合もあるようなので、確定申告を忘れないように気をつけたいですね。

出典:Ⅴ給与所得者の確定申告 / 国税庁

ダブルワークの確定申告に必要な書類

確定申告を行う際は、確定申告書のほかにマイナンバーカードや、本業と副業の源泉徴収票、申告内容に応じて給与所得や公的年金等の源泉徴収票(原本)などの書類を準備する必要があります。

「確定申告をするため、お金に関する書類はすべてとっておくように気をつけながらダブルワークをしている」というママもいました。確定申告に必要な書類が会社から届かない場合は請求できるように、必要書類を確認しておくとよいかもしれません。

出典:申告書に添付・提示する書類 / 国税庁

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社会保険

社会保険とは、主に健康保険と厚生年金保険の総称のことを指します。労働者やその家族が病気やけがをしたときや出産をしたとき、亡くなったときなどに、必要な医療給付や手当金の支給をする制度とされています。

「社会保険に加入することを前提として仕事を選んだ」というママの声もありました。社会保険完備を仕事を選ぶ条件としている場合も多いようです。

出典:人を雇うときのルール / 厚生労働省

社会保険加入の条件

社会保険の加入には、下記のような条件があります。


  • 1週間あたりの決まった労働時間が20時間以上
  • 1か月あたりの決まった賃金が88000円以上
  • 雇用期間の見込みが1年以上であること
  • 学生でないこと
  • 従業員数(厚生年金の被保険者数)が501人以上の会社で働いている、または従業員500人以下の会社でも、社会保険加入について労使で合意がなされている

社会保険への加入を希望するママがいる一方で、被扶養者のままダブルワークをしたいと考えるママもいるでしょう。社会保険の被扶養者かどうかを判断する年収130万円の基準に変更はないようですが、上記の社会保険加入要件に当てはまる場合は被扶養者とはならないようです。

社会保険に加入となるか気になる場合は、一度会社に確認してみるとよいかもしれません。


社会保険に加入する利点

社会保険に加入するとどのような利点があるのか、まとめてみました。


  • 将来もらえる年金が増える
  • 障がいなどにより、日常生活を送ることが困難になった場合なども、より多くの年金がもえらる
  • 医療保険(健康保険)の給付も充実
  • 会社も保険料を支払ってくれる。自分で国民年金保険料や国民健康保険料を支払っている場合は保険料が安くなることがある

社会保険に加入することで手取りは少なくなってしまいますが、将来の年金額が増え、生活保障のための制度が手厚くなるという利点があるようです。

出典:平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大) / 厚生労働省

仕事選びのとき注意したいこと

制度のほかに、ダブルワークをするうえで注意したい点をまとめました。


ダブルワークをしてもよいか確認する

会社によってはダブルワークを就業規則上禁止する会社もあるようです。また、求人情報にダブルワークOKと記載されていても、トラブルを避けるため、求人先やメインで働いている会社に念のため確認するとよいでしょう。


働き方について

ダブルワークは、平日や土日、日中や夜など、完全に分けることで管理がしやすくなるようです。日雇いのパートやバイトなどは管理がしやすいかもしれませんね。スケジュール管理がしっかりできるよう、仕事を選ぶときは気にかけるとよいかもしれません。

ダブルワークは制度やスケジュール管理に気をつけよう

パソコンを見るママと赤ちゃん
iStock.com/Yagi-Studio

ダブルワークをするときは、所得税や配偶者控除、確定申告や社会保険について理解することが大事になるようです。確定申告が必要な場合は忘れないように気をつけましょう。日雇いのパートなど、スケジュール管理がしやすい仕事かどうかも考慮しダブルワークを考えられるとよいですね。

2019年05月28日


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