【調査】子育て中だと採用に不利?子育て世代の転職活動の実態とは

【調査】子育て中だと採用に不利?子育て世代の転職活動の実態とは

共働き世帯が増加傾向にある昨今。子育てをしながらの転職活動も珍しいことではないだろう。子育てをしていると転職活動に影響するのか、また子育て世代の労働環境の実態についてIndeed Japanが調査を実施。結果を受け、KIDSNAでも実際に子どもを持つ保護者から話を聞いた。

共働き世帯が増加傾向にある昨今。子育てをしながらの転職活動も珍しくはない一方で、日本においては、出産や育児により女性の就業率が著しく低下する「M字カーブ」の問題など、特に“子育て世代”の女性の就業状況に関する課題も注目されている。

そこで今回は、子どもを持ちながら転職活動を経験したことがある20〜40代の男性と女性を対象にしたIndeed Japanの「転職活動と労働環境」のジェンダーギャップの実態調査をもとに、保護者の声を集めた。

子育てと転職活動の両立が難しいと感じた保護者は多い

Indeed Japanの調査によると、子育てをしながらの転職活動は、子育てをしていない状況で転職活動を行う場合よりも難しいと感じるかという質問では、女性の9割、男性の8割が難しいと感じると回答。特に女性の方がその割合が高く、男性よりも10.8ポイント高い結果となった。

出典: Indeed Japan
出典: Indeed Japan

子育て中の転職活動が難しいと感じる理由を聞くと、男女ともに「家庭を持っているので、自分の都合だけで仕事を選べないから」が最多に。しかし、女性の方が男性よりも12.5ポイント多い結果となっている。

また、男性は時間のやりくりに関連した理由を挙げる人が多数であった一方で、女性は育児と関連した理由を挙げる人が多い傾向にあり、男女差が表れる結果となった。

中でも、性別による意識の差が最も大きかったのは、「子育てをしていると採用に不利になると思うから」という回答。女性の4割(39.7%)が理由として挙げているのに対し、男性は1割(11.4%)に留まっており、女性は男性の3.5倍もの人が、育児が採用に不利になると感じていることがわかった。

出典: Indeed Japan
出典: Indeed Japan

この結果を受けたKIDSNA読者の声は・・・

この結果を受け、実際に子育て中のKIDSNA読者へ、子育てをしながらの転職活動が難しい・不利と感じたことがあったか聞くと、下記のような回答があった。

40代ママ/子ども13歳
40代ママ/子ども13歳

面接で毎回「実家は近いか」「子どもの面倒を見てもらえる環境はあるか」と聞かれ、そのたびに実家が遠く頼れない旨を伝えるとあまりよくない反応でした。子育てによって就業・残業時間が限らていて、そのうえ自分の年齢が上がるに伴ってどんどん選択肢が狭くなるのを実感しました。

30代ママ/子ども5歳
30代ママ/子ども5歳

入社時から時短勤務に対応してもらえる職場を探すことが難しいと感じました。

30代ママ/子ども11歳、7歳、5歳
30代ママ/子ども11歳、7歳、5歳

下の子どもが1歳の頃、フリーランスから転職活動を行いましたが、かなり厳しい条件のものばかりでした。同時に、これが子育てをしながら仕事を探すことなのだと痛感させられました。

30代パパ/子ども8歳、6歳
30代パパ/子ども8歳、6歳

子どもの学校のことを考え、転勤がないことが転職先の条件でしたが、妻が専業主婦ということもあり、転職活動が難しいと感じることは特にありませんでした。

子育てと両立するための希望に見合う条件の企業や求人は少なく、子育てをしながら転職活動をするのは難しいと感じたという女性の声が多く集まった。

一方、今回話を聞いた男性は、子育て中の転職活動が難しいと特段感じなかったようだ。

転職理由の首位は男女ともに一致も、子育て意識に差

転職活動を行った理由はこのような結果に。

出典: Indeed Japan
出典: Indeed Japan

男性は女性よりも職場環境の改善やキャリアアップを理由として転職を検討し始める傾向が高い一方、女性は男性よりも子育てとの両立を理由として転職を検討し始める傾向が高いことが見受けられる。

男性に比べ、女性の方が長期的なキャリア形成や子育てと仕事との両立が課題になっていることがうかがえる結果となった。

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転職活動で重視するポイントも男女で大きく差が出る結果に

続いて、子どもがいる中で転職活動をする際に重視するポイントは、男女ともに「給与」と「ワークライフバランス」が上位に。

しかし、男女間で差が出たのは1位と2位の順番。男性は第1位の「給与が高い」が50.6%だったのに対して、女性の第1位「ワークライフバランスのとれた働き方ができる」は64.4%にのぼり、男性回答43.0%と21.4ポイントの差があった。

また、女性の回答だけでみても第2位の「給与が高い」の41.0%とも23.4ポイントの差が。女性は転職時、特にワークライフバランスを重視する傾向が非常に強いことがわかる。

出典: Indeed Japan
出典: Indeed Japan

このような点を重視した転職活動の結果、実際に転職した421名に対して転職先の企業を選んだ1番の決め手はこのような順位になった。

出典: Indeed Japan
出典: Indeed Japan

この結果から実際の転職においても、女性は男性に比べて「子育てとの両立」を重視する傾向にあるようだ。

この結果を受けたKIDSNA読者の声は・・・

転職活動において重視したことについても同様に、子育て中のKIDSNA読者へ話を聞いた。

30代ママ/子ども2歳
30代ママ/子ども2歳

子どもが小さいうちは、子育て中心の生活を送りたかったので、ワークライフバランスを重視しました。

30代パパ/子ども6歳、4歳
30代パパ/子ども6歳、4歳

社会貢献度の高さと、子育てにはお金が必要なので給与を重視しました。

女性は仕事と子育ての両立を考え、転職活動を行っているようだ。一方男性では、社会貢献度の高さや給与に関する回答が見られ、Indeed Japanの調査と同様に、男女で転職先に求める条件の差があることがわかった。

夫婦で平等に子育てができる社会体制を

今回の調査で、もっとも大きくジェンダーギャップが見られたのが「転職活動において“子育てが採用に不利になる”と考えている女性が多いのに対して、男性はあまりそう思っていない」ということ。

一方で、「子育てと仕事の両立がしやすいこと」が女性の転職活動において必須条件になっている傾向からも、女性自らが子育てを引き受けてしまっている現状が浮かび上がっているといえるのではないだろうか。

長時間労働や男性が育休を取りにくい現状が改善され、子育て中の女性が引け目を感じることなく活躍できる社会になることを期待したい。

【調査概要】

調査主体:Indeed Japan株式会社

調査対象:全国の20~40代で15歳以下の子どもと同居し、転職活動経験がある男女1,000人

割付方法:男女を均等割付

調査方法:インターネット調査

調査期間:2021年9月11日~9月13日

<執筆>KIDSNA編集部

2021.10.28

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