机の上にスマホを置くだけでどんどんバカになる…デジタル刺激で脳が「通知中毒」になった人の末路
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やることがたくさんあるのに集中できないのはなぜか。作業療法士の菅原洋平さんは「人間の脳は複数の作業に注意しようとするほどエネルギーを消費し、かえって集中できなくなる。作業を円滑に進めるためには、今目の前にあるタスクだけに没頭することが重要だ」という――。(第2回) ※本稿は、菅原洋平『多忙感』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
やることが多い時ほど集中できないワケ
あなたの脳は今、まさにこの瞬間も戦っています。
パソコンの画面の端で点滅する通知。
スマホから鳴り響く着信音。
オフィスに響く同僚のタイピング音。
そして頭の中で次々と浮かぶ「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」という思考。
常に横やりが入り続ける中で、注意力を維持し、今行っている作業をやり続けることは簡単ではありません。
多忙感の原因の1つは、脳疲労の蓄積です。
「やろうと思ったことと違うことをしてしまう」ことは脳疲労のはじまりです。
では、そもそもどうしてやろうと思ったことができなかったのでしょうか?
それは、違うことに注意力を奪われたからです。
この稿では、多忙感を解消するために、まず脳に疲労をため込まない方法をお伝えします。
重要なのは、注意力を守り、適切に維持・配分するということです。
現代人の脳疲労の大部分は、「見えない注意力の浪費」によって引き起こされています。
私たちの注意力には4つのタイプがあります。
エネルギー消費量の小さい順に並べると、このようになります。
① 選択注意:1つのことだけに集中する(エネルギー消費:小)
メールを読む、資料を作る、会話に集中する。これが最も省エネで効率的な状態です。
② 持続注意:集中を長時間維持する(エネルギー消費:中)
長時間の文章作成、プレゼンの準備など。疲れますが、作業は進みます。
③ 同時注意:2つのことに交互に注意を振り分ける(エネルギー消費:大)
電話をしながらメモを取る、会議で資料を確認しながら話を聞く。能動的に集中するというより「気をつける」「気を配る」という感覚で、負担を感じます。
④ 転導注意:次々とタスクを切り替える(エネルギー消費:特大)
メール確認→資料作成→電話対応→会議参加を短時間で繰り返す。絶えず注意を切り替える最も非効率な状態です。
人が何かの作業をしているということは、注意を向けているということです。
そして、その注意とは必ずこの4種類のどれかのことなのです。
③④から分かるように、実は人間はマルチタスクができません。
人間の注意には、複数のことを同時に処理する注意力は存在しません。同時に行っているように見えて、注意を切り替えているだけです。
そして、この注意の切り替えが頻繁に行われるほど、エネルギー消費は大きくなります。
多忙感のスタートである脳疲労の根本原因は、この注意の切り替えコストです。





























