「黒字なのにうまくいかない飲食店」の共通点…わずかな売上減が致命傷になる「綱渡り経営」を見抜く「裏計算式」
10%を切ると危ない「経営安全率」
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黒字でも経営が傾いてしまう飲食店の特徴とは何か。マネジメント能力開発研究所代表の千賀秀信さんは「いくら黒字であっても、売上高に占める経営安全額が低すぎると、少し売上が減っただけですぐに赤字に転落し、経営を圧迫してしまう」という――。 ※本稿は、千賀秀信『[ポイント図解]管理会計の基本が面白いほどわかる本』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
とあるセルフ式うどん店の経営
あなたは郊外の街道沿いで、セルフ式うどん店を経営しています。お店では、お客がうどんを注文し、トッピングとしてカウンターに並んだ具材を選びます。
1カ月の利益計画は、次の通りです。
【月間計画】
客単価あたり:材料費140円 消耗品費35円
人件費:270万円/月 店舗設備費等:180万円/月(1店舗)
●月間最大可能製造・販売量は15,000食である。
●客単価は500円であり、価格競争は激しい。
損益分岐点の売上高と販売数量はいくらでしょうか。
利益が出るか出ないかという分岐点を損益分岐点と呼びます。これを超えれば利益が出るのです。一緒に考えていきましょう。
ただし、もしも損益分岐点を求める公式を知っていたら、それをできるだけ使わないで考えてください。そうすることで問題の本質が見えてきます。
まず、問題にある客単価とは、客1人当たりの売上高のことで、
店の売上高=客単価×客数(食数)
の関係にあります。売上高アップのため、客単価アップまたは客数(食数)増を狙い、さまざまな販促策が行われます。
客単価当たりの材料費140円と消耗品費(客が使う醤油などの調味料、紙コップ、割り箸など)35円は、変動費です。変動費とは、売上高に比例して増加する費用で、1食当たり175円の変動費が発生する計画です。ここから、客単価に対する変動費の割合(変動費比率)は35%だとわかります。
客単価500円なので、1食当たり325円(500円-140円-35円)の粗利益が発生します。この粗利益が限界利益で、65%(325円÷500円)は、限界利益率と呼ばれます。客数が20人なら、6500円(325円×20人)の限界利益が発生します。限界利益は、売上高と比例する粗利益です。





























