「東京のマンション1億円」に踊らされてはいけない…「賃貸と持ち家どちらがいいのか」大学教授が示す最新回答
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東京23区における中古マンションの平均希望売り出し価格は、1億円を超えている。もう家を買うことはできないのか。長年「住みここちランキング」に携わってきた麗澤大学教授の宗健さんは「平均にイメージを引きずられてはいけない。都心のタワーマンションには1億どころか2億、5億といった物件もあり、そうした超高額物件が平均値を引き上げている」という――。
日本では持ち家が多数派
持ち家vs賃貸論争は、アクセスが稼げる鉄板ネタのようで多くの動画や解説がネットにある。そして、「どちらがいいかは個人の価値観や暮らし方によるから結論はない」という意見も多い。
しかし、一部にある持ち家はリスクであり賃貸を選ぶべきだ、という強い主張とは別に、世の中では、持ち家が多数派だ、という動かせない事実がある。
2023年の住宅・土地統計調査によれば、全世帯の持ち家率は60.9%で過半数を占め、60歳以上の持ち家率は79.6%だ。要は、日本国民は持ち家を支持している、ということだ。
そして、当然だが政治は多数派を前提に国の制度を作っていく。
現実には、持ち家派が多数派だから、年金も社会保障も住宅ローン減税も、持ち家を前提に作られていく。
賃貸派のメディアなどでの発信の多さとは関係なく、日本社会は持ち家に軍配を上げているのだ。
※ 本稿では持ち家のほうが賃貸よりも総合的に考えればオススメであり、買えるのであれば家を買った方がいいと言っているだけで、賃貸住宅そのものを否定しているわけではないことは強調しておきたい。世の中には賃貸住宅を必要としている人たちがいて、ビジネスとして賃貸住宅を供給、経営している人たちがいる。賃貸住宅は社会的に必要とされている存在であり、賃貸住宅事業は社会的意義のあるものだ。そして賃貸住宅事業に携わっていることと、考え方として持ち家を支持するか賃貸を支持するかは全く関係がない。
持ち家の7つのメリット
持ち家のメリットを箇条書きにすると以下のようになる。
① 住宅ローンには、団体信用生命保険(団信)が付帯している。
借主が死亡したらローン支払いが無くなり、残された家族は家の心配がなくなる。団信の保険料は金利に含まれていることが多く、保険料自体も、個人で別途、死亡保険を契約するよりも抑えやすい。この安心感は大きい。
② 持ち家には、高齢時にも住み続けられるという安心感がある。
日本の借地借家法では、賃借権は相続されるため、高齢者は借りにくい。実際、借りられなくて困っているという話は多い。
持ち家の場合は、住宅ローンが終われば非常に少ない負担で住み続けられるという安心感が大きい。その意味では持ち家とはいわば、強制積み立ての個人年金のようなものだ、とも言える。住宅ローンが保険料で、配当は老後の家賃無料特典、ということだ。
③ 場所や面積、品質などが同じなら賃貸よりも持ち家のほうが、一定期間のキャッシュアウトが少ないことがほとんど。
家賃には、そうした名目で請求されていないだけで、固定資産税や補修費など持ち家で発生する費用も含まれている。加えて、持ち家では発生しない滞納リスク、空室リスク、広告料、仲介手数料、管理料、家主の利益、持ち家よりも高いローン金利、持ち家よりも短い借入期間によるローン返済などさまざまな費用が含まれている。
さらに持ち家の住宅ローンは、金利が優遇されており、現在は減税もあり、メリットが大きい。





























