「それではダメなんです」と言って市長を黙らせる…泉房穂が一目置いた"バンドマン職員"の型破りな提案
貴重なダメ出しだった
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地方自治体はさまざまな課題を抱えている。前明石市長の泉房穂さんは「私が明石市で市長をやっていたころは、バリアフリー事業に力を入れていた。多くの職員ができない理由ばかりを説明してくる中で、私にダメ出しをしてくる、とある“変わり者”職員によって状況が大きく動いた」という――。(第2回)
変わり者扱いされていた職員
「無事是名馬」の風土に染まっていた組織の中で、明石変革の求心力となってくれた職員たちの働きぶりについて、何人か紹介しましょう。役所の仕事のイメージを、より具体的かつ身近に感じてもらえるのではないかと思います。
ちょっと変わり者扱いされていたAさんという男性がいました。彼はバンド活動をやっていて絵も上手い。風貌もアーティスト的な雰囲気で、真面目そうな人ばかりの市役所の中でやや異質な存在でした。音楽や絵などの自分の世界を持っています、という楽しげなオーラはありましたが、少々扱いづらいと思われていたのか、市役所の業務としてはメインストリームから外れたようなところに置かれていたと記憶しています。
縁あって話をする機会があり、彼の発想が柔軟で、新しいことをリスクとみなしがちな役所の中では珍しく「やってみましょう」という雰囲気を醸し出している人だったので、おや、と思いました。
市長になって以降、こちらが何かを提案しても、「それは無理です」「そんなことはやったことがありません」「よその市ではやっていません」などと、できない理由ばかり聞かされ続けて辟易へきえきしていた私にとって、彼の「やってみましょう」という空気感は新鮮でした。
そこで早速、Aさんを障がい者福祉の部署に異動させ、「商店街のバリアフリー化」の担当になってもらいました。その際の彼の反応も、さらに嬉しいものでした。





























