顧客に先に伝えるべきは商品のメリットかデメリットか… 「正解は20代と40代で真逆になる」納得の理由
喜ぶどころか拒否反応…Z世代に「特別にお値引きします」が響かない理由
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結果を出せる営業マンは、何が違うのか。戸板女子短期大学服飾芸術科の安東徳子教授は「世代にあわせた言葉選びが重要だ。かつては喜ばれた“鉄板の営業トーク”が、顧客によっては喜ばれるどころか、拒絶されているケースさえある」という――。
38歳ベテラン社員の悩み
「最近、お客様に言葉が届いていない気がするんです」
38歳のウエディングプランナーAさんは「どうしていいか分からない」といった表情でこう話し始めました。Aさんは都内にある結婚式専用のゲストハウスに勤務して18年になるベテランです。
カップルと一緒に結婚式を作り上げていくのがウエディングプランナーの仕事ですが、もう1つ重要な仕事があります。それは「新規接客」。まだ会場が決まっていないカップルに自社の式場に決めていただくための営業業務です。
Aさんはこれまで月間成約率60%前後を維持しており、営業成績は常に上位でした。しかし、不調に陥ってからは成約率34%まで落ち込む月も出てきました。
結婚式の多様化や少子化、非婚化などを言い訳にしたいところですが、Aさんがそう思えないのは後輩ウエディングプランナーの存在があるからです。入社5年目、25歳の彼女は新規成約率60%前後をクリアしているのです。
「お二人の夢をすべて叶える式を提案できたという自負はあります。でも、なんだか響かないんです」。
5年前の営業トークが響かなくなった理由
私はホテルやウエディングなどホスピタリティ業界に携わる傍ら、大学や専門学校で30年近く学生たちと接してきました。その中で観察、分析してきた世代価値観の蓄積や、専門分野であるウエディング業界での営業支援、社員教育等の知見を活かし、「無形・高額」商品を扱う業界へのコンサルティングも行っています。対応業種は海外旅行や不動産、生命保険、病院、葬儀などです。
5〜6年前頃からでしょうか。ウエディングだけでなく、特に20〜30代をターゲットにするエステサロンや新婚旅行などのクライアントからも「ベテランの営業マンが不調に陥っている」「今まで通りの営業トークがお客様に響かない」といった声が聞かれるようになりました。
そんな時、私が伝えるのは「ターゲットが変わっていることに気づきましょう」ということです。
2020年、20〜30代人口の中心はミレニアル世代(1981年〜1994年頃生まれ)でした。しかし、2025年現在はミレニアル世代とZ世代(1995年〜2010年頃生まれ)に分かれています。
ウエディングのメインターゲットである20代前半〜30代後半を対象にした分析では、2020年、ミレニアル世代対Z世代の比率は、およそ9:1。それが2025年は4:6にまで変化しています。この年代を対象にしたほかのビジネスも近い数字になるでしょう。





























