誰にも相手にされない欧州の焦りが目に浮かぶ…日本にすり寄り、次は太平洋の国々に接近し始めたEUの大誤算

誰にも相手にされない欧州の焦りが目に浮かぶ…日本にすり寄り、次は太平洋の国々に接近し始めたEUの大誤算

「自由主義の旗手」を自称するには無理がある

米中に対抗して環太平洋諸国に近づくEUの限界

欧州連合(EU)が環太平洋諸国に接近している。環太平洋連携協定(CPTPP)に加盟する12カ国(※)は、今年11月末にオーストラリアの首都メルボルンで閣僚級会合を開催するが、そこにEUのマロシュ・シェフチョビッチ欧州委員会上級副委員長(通商政策担当)が出席する。米中の脅威を念頭に、EUはCPTPP加盟国との連携を目指す。

※日本、メキシコ、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、ベトナム、ペルー、マレーシア、チリ、ブルネイに英国を加えた12カ国

欧州勢では、EUと袂を分かった英国が、2024年12月にCPTPPへ加盟している。CPTPP加盟国のうち、歴史的に英国と関係が深い国は数多い。ゆえに英国のCPTPP加盟にはある程度の説得力がある一方で、歴史的かつ経済的なつながりが必ずしも強くないEUが環太平洋諸国に接近することには、いささか唐突な印象を禁じ得ない。

とはいえ、世界中が米中の二大国に圧迫されている事実に鑑みれば、第三軸を形成するという観点では、EUとCPTPPが接近する展開は自然の理だろう。EUは米国が保護主義を強めていると非難し、自由貿易の原則を維持するため、CPTPPと共闘する姿勢をアピールする。しかし、米国を非難するEUの通商政策も保護主義の性格が強い。

保護主義とは、輸入品を抑制し国産品を優遇することで、国内の産業を保護・育成しようとする思想である。対する自由主義は、輸入品と国産品を同一に競争させ効率的な資源配分を達成しようとする思想だ。近年の自動車政策が物語るように、EUの産業政策は基本的に保護主義に基づいており、自由主義の旗手を自称するには無理がある。

域内製品の優遇を主張するフランス

電気自動車(EV)を例にとると分かりやすい。脱炭素化を重視するEUは、2035年までに新車から内燃機関車(ICE車)を排除する方針を打ち立てている。ハイブリッド車(HV)も脱炭素化に資するのに、それは容認しない。加えて後述のとおり、中国製の廉価なEVの輸入を抑制しようとする。こうした姿勢はまさに保護主義である。

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2025.11.09

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