【誤算】スタバになるはずだった…マクドナルドの新業態が「わずか1年半で全店撤退」に至ったワケ
開店当初は「最長6時間待ち」の放送も
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世界最大のハンバーガーチェーン、マクドナルド。2023年12月、ドリンク専門店「コスマックス」をアメリカで鳴り物入りで始めたが、早くも今年には完全撤退が発表された。急成長の「スペシャリティドリンク」市場を狙ったものの、カスタマイズ需要やオペレーション難度の読み違えにより、「スタバの対抗馬」となる夢は破れた――。
テスト店舗の全店閉店を発表
米マクドナルドは今年6月、ドリンク特化型の実験店舗「コスマックス」を全店閉鎖した。
2023年12月にテスト事業がスタートして以来、同社は米国内に計8店舗のコスマックスを展開。当初の計画では、2024年末までに10店舗への拡大を目指していたが、一転して完全撤退の決断となった。
米CNBCが報じたところによると、同社のクリス・ケンプチンスキーCEOは出店前の投資家向け説明会で、「1000億ドル(約15兆円)規模のカテゴリー」への進出になると高らかに宣言。「外食産業の他の分野よりも速く成長しており、利益率に優れている」と自信を見せていた。
スターバックスの「ラテ」や「フラペチーノ」などに代表されるスペシャリティドリンク市場は、一般に通常のコーヒーと比べて利幅が厚く、顧客一人当たりの単価も高い。しかし、米業界専門誌のレストラン・ビジネスは、「期待に見合った売り上げを達成できていなかった」との見方が広がっていたと指摘している。
米マクドナルドは今回の完全撤退について、「コスマックスから得た学びをマクドナルドの体験に融合させる」と説明。一部の人気ドリンクについては通常のマクドナルド店舗での販売を検討するとしている。
出店当初は大盛況「ガソリンがなくなるまで並んだ」
2023年12月7日、イリノイ州ボリングブルックに開店したコスマックス第1号店は、まるでテーマパークのような賑わいだった。
地元紙のシカゴ・サン・タイムズ紙によると、開店初日の深夜3時30分にはすでに車が並び始め、朝6時のオープン時で早くも20台の行列が発生。正午になる頃には約150台にまで伸びた。列はショッピングプラザの反対側まで回り込むほどだったという。
CNBCが当時報じたところでは、待ち時間は最長6時間に達し、警官が交通整理に出動するほどの騒ぎとなった。ある男性客は「ガソリンがなくなったので、一度列を離れて給油してからまた戻ってきました。それだけの価値がありますから」と興奮気味に語っている。
客足は極めて好調だった。フォックス・ビジネスによると、通常のマクドナルド店舗の2倍の来店客を記録している。イギリスやフランスなどからの旅行客も、シカゴ観光のついでにと足を運んだという。農業地帯がすぐそこまで迫る郊外の立地だが、ティックトックでも話題の味をぜひ、と客足は絶えなかった。
飲食業界専門誌の米レストラン・ダイブは、青と紫を基調とした店舗デザインと、カラフルなドリンクのラインナップにより、若い世代を中心に大きな注目を集めていたと述べている。





























