世界中の人とつながるためには「何人の友達」が必要か…「今すぐスマホで答えが出せる」数学の問題
①600人、②60人、③6人
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世界中の人とつながるためには、何人の友達が必要なのか。サイエンスナビゲーターの桜井進さんは「友達の友達は友達、世界人口80億人の全員に50人の友達がいるとした場合、かけ算を続けることで答えが出せる」という――。 ※本稿は、桜井進『人生は数学でできている 恋愛、戦争、うわさ……すべてが解ける!』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
女子高生が発端となった1973年の豊川信用金庫事件
【問題】 □に入る数はいくつでしょう。
うわさがうわさをよぶ
1973年豊川信用金庫事件の発端となった女子高生は□人
1973年(昭和48年)12月、愛知県豊川市において突如「豊川信金が倒産する」というデマが広まり、取り付け騒ぎに発展した事件です。14億円の預金が引き出されたことで豊川信金は倒産の危機に陥りました。警察は事件として捜査を行い、女子高生3人が登校中の列車内で発した冗談をきっかけとして次第に周りにうわさが拡散していったことを解明しました。
明らかにされたうわさの伝播ルートとは、次のようなものでした。
(1日目)列車内の女子高生3人の間で「豊川信金は危ない」との冗談話が出た。
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その1人が親戚Aに相談。
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親戚Aは別の親戚Bに相談。
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親戚Bが知人にうわさ話をする。
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(3日目)知人が親戚に話をするのが同時に居合わせた人に聞かれる。
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居合わせた人の妻にうわさが伝わる。
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(4日目)豊川市の主婦の間でうわさが話題になる。
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通りがかりの住民の耳に入る。
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(6日目)「豊川信金から120万円おろせ」という電話口の話を聞いた人が、豊川信金が倒産するからおろそうとしているのではないかと勝手に判断、自分も信金から預金をおろした。アマチュア無線家がこの話を無線を用いて広範囲に広めたことで一気にうわさが広まり預金が引き出された。
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(7日目)パニック発生。デマがデマをよび全国紙の見出しにも掲載。
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(9日目)警察によるデマの伝播ルートの全貌を解明し発表。テレビで全国に報道された。
3人の女子高生の会話が事件の発端になった
最初の3人の女子高生の1人が冗談を真に受けて親戚の1人に相談したことがこの事件の発端でした。たった1人から始まったことに驚かされます。あわせて驚かされるのが警察の捜査のスピードです。
「噂うわさ」という漢字は口+尊でできています。尊はずっしりした酒器を手でささげることを示す文字ですが、ここでは人々が集団をなして話す音を表します。なるほどうわさとは人から発する音によって人から人へと伝わります。
信金事件の発端になった3人の女子高生は、まさか自分たちの会話がきっかけだったとは夢にも思わなかったでしょう。うわさは最初の1人から始まり、たった数日のうちに広範囲の多くの人が知るまでに拡散していきます。人から人へと口伝えに伝えられるうわさ・デマ・迷信、それを知った人は真実かどうかを吟味することなく周りの人も知っているという事実に大きな影響を受けることになります。はたして、大きく知れ渡ったうわさ・デマ・迷信によって社会が動かされた歴史的事例は数多くあります。
多くの研究者が様々な視点からうわさ・デマ・迷信を研究対象にしてきました。その一つに数学もあります。うわさの広まり方も数学で説明できるとしたら興味あることだと思いませんか。





























