スマホは子供を脳をダメにする…7万人の調査で判明した「子供のスマホ利用が医学的にマズい理由」
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うちの子、大丈夫だろうか――。夢中でスマホを触る子供の姿に、不安を感じる人は多いだろう。最新の研究が示す、大人が思う以上に深刻なリスクとは。のべ7万人の子供を調査した脳科学者が警鐘を鳴らす。
どれだけ勉強してもスマホを使えば台なしに
スマホがなくてはならない存在になりつつあるのは子供の世界も同様だ。NTTドコモモバイル社会研究所の調査では、今や小学校高学年の4割、中学生の7割が所有している。しかし、スマホ使用に伴うリスクについてはまだあまり知られていない部分も多い。
スマホが子供の学力破壊につながる危険性を指摘しているのが、脳科学者で東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授だ。川島氏は宮城県仙台市の小中学校に通う児童・生徒のべ7万人の生活習慣と学力の追跡調査を10年以上行っており、スマホ利用のリスクを訴え続けている。
「平成22(2010)年から始まった大規模調査によってまず明らかになったのは、スクリーンタイム(平日一日当たりのテレビ、スマートフォン、ゲーム機等の画面の視聴時間)が1時間を超えてしまうと、極端に学力が低くなるという事実です。利用時間が伸びるのに比例して、数学・国語・理科・社会いずれの学力も低下することがわかりました。教科を問わないことからも、論理的思考力、記憶力、集中力、読解力など、学習能力全般に影響があると推測しています」(川島氏、以下同)
スポーツ庁が発表している「令和6年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果」によると、スクリーンタイムの増加が見てとれる。学習以外のスクリーンタイムが「3時間以上」の割合は小中学校男女ともに増加しており、令和6(2024)年度の数字は平成28(2016)年度の調査開始以来、最も高い割合となった。小学生で約4割、中学生で約5割が、学習以外の目的で一日にスマホを3時間以上使用しているという。小学生男子に限定すると、「5時間以上」と答えた割合が約19%と、およそ5人に1人の計算になる。
調査開始当初は、「スクリーンタイムの増加に伴い、学習時間や睡眠時間が減少したことが学力低下の原因ではないか」という意見もあったが、学習時間や睡眠時間と関係なく、スマホ利用時間そのものが学力に影響を与えていることも判明したという。