「いい大学→いい会社」は本当に幸せなのか…大企業のエリートが「不安だ」「苦しい」と悲嘆する事情
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日本経済に元気がない理由は何か。福厳寺住職でYouTuberの大愚元勝さんは「大企業ほど社員の苦痛や不満を少しでも軽減しようと努力し、成長から自らを遠ざけている。『いい学校→いい会社=幸せ』という方程式の中身を見直す必要がある」という――。
日本人が信じてきた神話が崩れ始めた
いい大学、そしていい会社に入ることは幸せなのか。
受験生にとって、そして受験生を抱えた親にとって、この問いはとても重要である。
なぜなら今「いい大学を出て、いい会社に入れば、人生は安泰」という、これまで多くの日本人が信じて疑わなかった神話が、崩れ始めているからだ。
私は僧侶としての法務の傍ら、10年ほど前からYouTubeにて『大愚和尚の一問一答』と題する、人生相談に仏教の智慧で応える番組を配信してきた。
そこに寄せられる相談内容は、恋愛、夫婦関係、親子関係、学校や職場でのいじめ、病気、死や死後のこと、仏壇やお墓についてなど、多岐にわたっている。登録者の増加とともに相談件数も増え、現在未回答の相談数は、4500件を超える。
「いい会社」の経営陣たちの嘆き
中でもコロナパンデミック以降、急上昇した相談内容がある。
それが、「仕事や経営」「職場の人間関係」に関することだ。
新入社員からは、上司について、中堅社員や幹部からは、上司やトップとの関係、社員採用と部下の育成についての相談が多い。
また、こうした相談にお答えするうちに、さまざまな企業から、幹部研修、社員研修の依頼が届くようになった。
依頼者は、中小企業ばかりではない。誰もが知っているような「いい会社」の経営陣であっても、「苦しい」「不安だ」「幸せでない」と嘆く声が少なくないのだ。
今、中小企業はもちろんのこと、大企業であっても苦戦を強いられている。
彼らが抱えている課題が、いい大学を出て、いい会社に入ったからといって、必ずしも「幸せ」とは言えない根本要因となっている。
実は「いい会社」だからこそ直面するジレンマがある。
1つが「イノベーションが起きない」こと。
2つ目は「人が育たない」ことだ。