「間違った断熱」で電気代がかさむバカらしさ…職人社長が「一戸建てはエアコン1台で十分温まる」と断言する理由
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寒さを和らげる家の断熱対策はあるのか。工務店を経営する職人社長の平松明展さんは「高度な断熱対策と通気性をしっかり確保すれば、戸建てであってもエアコン1台で十分に温まる」という――。 ※本稿は、平松明展『住んでよかった家 理想の暮らしがずっと続く15の空間』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
快適な家とは「結露が発生しない家」
冬の時期、これから例に挙げる家がある地域の気温は5度くらいと仮定します。室内を20度くらいにするには、暖房のエネルギーコストが発生しますよね。ところが結露の発生リスクを低く抑えるWB工法である事例の家の場合、基礎と床下の温度が15度です。つまり、5度ほど高めれば快適な室温になるわけです。しかも、室内全体が一定の温度で保たれています。この理由は、床・壁・天井の断熱性と、換気ロスを減らした濃度差換気にあります。
空気の質も重要になります。湿度は空気に含まれる水分量の度合いですが、快適な湿度というものがあります。日本は一般的に冬場は湿度が低くて、夏場は高く、ともに過ごしにくい要因になります。
ただ、WB工法なら湿気が屋外と室内を出入りできる設計になっているため、自然に快適な湿度が保たれるのです。この湿度コントロールはとても重要です。湿気は建材を損傷させてしまいます。当然、耐久性が低下します。耐久性が低ければ、耐震性も持続しません。空気と湿気が自然に動く家、それは快適性を高めるとともに、家の性能を持続させる家なのです。
一戸建てでも「エアコン1台」で十分
2LDKの平屋でロフトがついた間取りです。1フロアで生活がすべて成り立つのが平屋の魅力ですが、動線を考えた間取りにすると、さらに利便性が高くなります。
事例の家は、玄関からシューズクローク、洗面所、脱衣所、キッチンという動線と、玄関からリビング、キッチンという2つの動線があります。キッチンは左右どちらからでも移動でき、家事もスムーズに行えます。
ダイニングとリビングは吹き抜けになっており、開放感があります。この吹き抜けによって1階とロフトで空気が移動します。夏はロフトのエアコンを稼働すれば、冷たい空気が1階へ。冬は1階のエアコンを稼働すれば、暖かい空気が2階へと移動します。WB工法によって湿気や化学物質も天井へと抜けていくため、常に高いクオリティの空気になっているのです。まさに「深呼吸したくなる家」といえるでしょう。
さらに太陽光発電を設置しているので、光熱費がかなり抑えられます。「人と空気がスムーズに動ける家」、これこそが住み心地のポイントです。