お金が貯まる理想の「預金&証券口座」の数はいくつか…老後の残高を最大化する口座管理ガイド
Profile
資産運用に励むための理想的な口座づくりとは何か。エコノミストの崔真淑さんは「預金口座を3つに分けること。ただし、50代以降はそこにもう1つ加えるのがおすすめだ」という――。
全世代におすすめの口座づくり
「理想的な、銀行口座のつくり方を教えてください」
最近、年上の方からこんなアドバイスを求められました。役職定年を前に、自分の預金口座の見直しを始めたい、と。その方は、普通預金と定期預金の2口座で30年ほど1つの銀行に自分の全収入を預けているとのことでした。
私はファイナンシャルプランナーではありません。この連載でもお伝えしているように、畑作がおしえてくれるアグリエコノミクス(農業経済学)の視点からお金について日々考えているイチ消費者です。そこで、こう答えました。
「口座を3つに分けること。それが、全世代におすすめしたい口座づくりです。ただし、50代以降はそこにもう1つ加えるのがおすすめです」
まず、3つの口座の違いは何か。
それは「短期」「中期」「長期」。短期は普通預金で日常使いと緊急時用、中期は定期預金で将来の支出に備える用、長期は証券口座で、投資信託や個別株を買いつける投資用です。
特に投資は、長期口座が理想です。時間を味方にすることで資産が増えるからです。20代の方には、最初の口座づくりのタイミング、40~50代の方には定年生活への離陸としてのタイミングで、証券口座の開設をおすすめします。
3つのバランスはその方の年齢によって決めるべきですが、投資用の長期口座に入れる金額は、5年先まで手をつけずにいられる額が理想です。必要に応じてリバランスできるように、総額をしっかりと把握しておくことも大事です。
ほったらかし投資の長所とは
投資を始めると、株価の変動に一喜一憂して売買したくなることがありますが、基本は「ほったらかし」、つまりよほどのことがない限り放置するのが賢明です。
投資の最大の利点の1つは複利効果です。投資した資金が増え、その増加分がさらに運用されることで、長期的に資産が増加します。ひんぱんに売買するとこの効果が失われ、しかも売買の手数料や税金などのコストでリターンが圧迫されます。
そればかりではありません。投資を「ほったらかし」にする利点は、市場を始終チェックする必要がなくなり、他の大事な活動(仕事や自己投資、趣味など)に集中できることです。これにより、投資以外の生活の質が向上するのは言うまでもありません。プロの投資家でないかぎり、あくまでも投資は“財布の1つ”として捉えるべきです。
重要なのはポートフォリオをバランス良く維持すること。株、債券、外貨を均等に持つのが理想です。
「お金の神様」といわれた邱永漢氏の「財産・資産三分法」では株式、債券、不動産を均等に分ける方法が提唱されていますが、今は不動産価格が高騰しているので、不動産を持ちたい場合、不動産投資信託(REIT=リート)を活用するのが現実的だと考えます。私はこれに、金とビットコインを加えてリスクを分散しています。