こうして私は会社勤めをしながら資産3億円を築いた…投資家がフル活用した「ネットにタダで落ちている情報」
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資産を増やすにはどうすればいいのか。個人投資家のろくすけさんは「私は個別株長期投資に地道に取り組み、3億円の金融資産を確保した。投資先を選ぶ際にはネットにある企業情報が非常に役立った」という――。(第1回) ※本稿は、ろくすけ『大暴落の夜に長期投資家が考えていること』(星海社新書)の一部を再編集したものです。
個別株長期投資に向いている企業の探し方
註:本稿において個別企業に言及する箇所がありますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
投資してみたい企業の面白いと思った理由、評価できると感じたポイントを言語化できたら、次に取り掛かりたいのは、その企業の業績や財務の傾向をざっくりと把握することです。
文系脳であっても、ここでは数字に触れないわけにはいきません。でも安心してください、難しくならないような説明に努めます。
まず確認したいのが、上場企業ならば必ず財務局および金融庁に提出している、有価証券報告書という書類です。企業のウェブサイトのIRページ、あるいはEDINETで入手することが可能です。
その有価証券報告書の本文2ページ目に載せられた表「主要な経営指標等の推移」から5期分(可能であれば、2つつなげて10期分)の数字を拾って並べてみます。並べた数字から次の3つを確認します。
①業績が「安定」して「成長」していることを確認する
②少ない投資でたくさん稼げているか、キャッシュフローの状況から確認する
③ROEの高位安定を確認する
「売上高の急成長」は要注意
まず、業績の「安定」と「成長」から説明します。
最初に、企業の業績が「安定」していることが確認できると、将来にわたって企業の価値と株価とが大きくブレずに並走することが期待できるため、長期投資においては大きな安心材料となります。
逆に業績の「ボラティリティ」(変化率の大きさ)は、波乗りのトレードで儲けるには重要な要素ですが、長期投資ではその不確実性ゆえに敵となることが多くなります。業績の不安定さそのものによって、企業の価値、実力に対する市場の評価が割り引かれてしまうためです。
次に、企業の実力を拠りどころにする長期投資では「成長」は必須の要素です。ただし、注意すべき点がいくつかあります。一つは売上高の急成長です。株式市場には売上高の急成長を評価する投資家も多いのですが、急成長しているということは、その市場自体が大きく伸びていることと想像されます。
そうした拡大のさなかにある市場は、新しい競合相手が次々と市場参入し、競争環境が厳しくなることで消耗戦に突入する事態も十分に考えられます。したがって、「成長」という観点では、売上高よりも経常利益、当期純利益の推移により大きな関心を向けるようにしてください。