「グルコサミンはひざ痛に有効」にエビデンスなし…たった5秒「魔法のひざトレ」で痛みが改善するワケ
Profile
スポーツ経験者はひざ軟骨の消耗が早い
中高年になると、大勢の人が悩むようになるのが「ひざ痛」です。シニアのビジネスパーソンであれば、「オフィスの階段の上り下りが最近、ひざにこたえるのでつらくなった」と、感じる人も多いのではないでしょうか?
ひざ痛の人は立ったり、歩いたりするとひざが痛むので、「脚を動かさずに、安静にしていよう」と、運動を控えるケースがほとんど。ところが、実は、それが大きな間違いなのです。
運動をしないと、その時はひざに痛みを感じないのでいいように思えますが、ひざの関節にとっては逆効果で、むしろひざ痛を悪化させてしまうケースがあります。それに対し、運動で脚を強化すれば、逆説的なようですが、ひざ痛の改善が大いに期待できます。
では、ひざ痛には、どうして運動が有効なのかを説明しますが、その前にまず、ひざ痛が起こるメカニズムについて、確認してみましょう。
ひざ痛の原因はさまざまで、例えば、若い人でもスポーツ障害などによって、ひざの痛みに苦しむ人がいます。ただし、中高齢者のひざ痛の中で、原因として圧倒的に多いのが「変形性膝関節症」。簡単に言えば、ひざの関節が変形してしまい、それによって、ひざに痛みが生じるようになるのです。
病気が進行すると、高齢女性によく見られる、いわゆる「O脚」変形に至る場合もあります。厚生労働省によれば、変形性膝関節症の患者数は、潜在的な患者(X線診断による患者数)も含めると国内で約3000万人と推定されています。とりわけ、50歳以上の患者では、女性の患者が男性の患者の1.5~2倍もいるのが特徴です。
では、変形性膝関節症はなぜ起こるのでしょうか? それは主に、ひざの関節内部で、骨の端を覆っている「関節軟骨」がすり減ってしまうからです。
ひざの関節軟骨は、大腿骨(太ももの骨)の下の端、脛骨(すねの骨)の上の端を覆っています。立ったり、歩いたりするとき、軟骨と軟骨の間にある「半月板」とともに、クッションのように骨にかかる負担を和らげる、重要な役割があります。
ところが、関節軟骨がすり減ると、大腿骨と脛骨が直接ぶつかり、とげ状の「骨棘こつきょく」ができて関節包を圧迫したり、削れた軟骨の破片が滑膜を刺激したりして、ひざが痛むというわけです。