「抑止力を高める=戦争に巻き込まれる」は間違っている…今こそ改めて学ぶべき「80年前の日本の失敗」
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台湾有事は本当に起きるのか。安全保障研究者の千々和泰明さんは「ロシアはウクライナへ侵攻し、中国は海洋進出を図っている。東アジアの安定のために日米が結束して抑止力を高めることが重要」という――。(インタビュー、構成=ライター・梶原麻衣子)
冷戦時代と同じ考えでは東アジアの安定は保てない
――防衛費の増額や戦略三文書の改訂など、厳しい安全保障環境に対応するための取り組みが進んでいます。一方で、「日本はかつて強大な軍事力をもって失敗したから、軍事力を持たない方がいい」といった発想はいまなお一部に残っています。
【千々和】終戦直後、日本自身が国際社会や周辺地域に脅威を与えないことを理解してもらうことが、国際社会に復帰するにあたって重要だった時期が、確かにありました。「日本は脅威ではない」ことを理解してもらうことが、サンフランシスコ講和を結んだ戦後日本の出発点だったからです。
しかしそれから70年以上たち、状況は変わってきています。日本が国際的な秩序の形成に、防衛力を含む様々な形で貢献していくことが、国際社会が求めることであり、評価していることでもあるからです。
日本はより積極的に、地域秩序に働きかけて、平和を確保していかなければならない状況に変わってきている。しかもその平和の確保を多国間連携などの枠組みによって図っていく。自主防衛ではなく、安全保障を国際的枠組みの中で図っていくことは、第二次世界大戦後の国際社会の潮流でもあります。
そのために、アジア太平洋地域においても、日本だけでなく韓国、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランドがアメリカと同盟関係を結んできました。
この形をハブ・アンド・スポークスと呼びますが、各国はアメリカを介す形で地域の安全保障を図っています。
こうした情勢においては、アメリカと同盟を組む日本も、各国と連携して地域の安定と日本の安全を図るのが最も自然な形です。