お医者さんに聞く「子どもの花粉症は小児科・耳鼻科・アレルギー科…どれに行くべき?」

お医者さんに聞く「子どもの花粉症は小児科・耳鼻科・アレルギー科…どれに行くべき?」

前回、「花粉症の薬は、市販薬でも買えるけれど、病院で処方してもらった方が割安」と書きました。割安なだけではなく、病院を受診して頂くと、医師と相談しながら治療法を選んだり、必要に応じて検査や処置を受けることもできます。でも、いざ受診するとなると、何科を受診すればいいか迷いませんか?花粉症で受診する診療科の違いについて、お医者さんが解説します。

お医者さんにきく、花粉症の市販薬と病院の処方薬の違い。どちらが割高?

前回記事:お医者さんにきく、花粉症の市販薬と病院の処方薬の違い。どちらが割高?

著者:箕島みな

内科医として約10年間地方の病院・診療所に勤務した後、現在は総合診療医として非常勤勤務しながら、二人の子どもの育児中

一般的な治療は、小児科・内科でOK

花粉症の治療は、一般の小児科・内科でOKです!薬の処方が中心になります。

治療の主役は薬局の市販薬と同じ成分の「第2世代抗ヒスタミン剤」を使用することが多いですが、病院ではその他に、市販薬としては買えない薬を処方することがあります。どの薬を選択するかは、症状の重症度や、症状の出方によって異なります。

例えば、主に鼻づまり(鼻閉)の症状が強い方に処方する「抗ロイコトリエン薬」や、最重症の方に短期間の投与を考慮する「経口ステロイド薬」などは、医師の処方せんが必要です。重症の方は医療機関を受診して、医師と相談してみることをおすすめします。

小児科・内科でも、アレルギー検査ができる

また、アレルギーの血液検査も、一般の内科で行うことができます。(もちろん、耳鼻科、アレルギー科でもできます)

血液検査では、どんな花粉に対してアレルギーがあるのかを調べることができます。しかし、

・かなり費用がかかる(何種類検査するかにもよりますが、自己負担が数千円かかります)

・すべてのアレルギー原因物質を検査できるわけではない

・原因物質が分かっても、完全に避けることはできない

などの理由から、全ての患者さんに積極的におすすめしている訳ではありません。検査については、医師とご相談ください。

子どものアレルギー検査はどうする?

また「うちの子、花粉症かも」と子どものアレルギー検査を希望するお母さんもいらっしゃいますが、上記の大人のケース同様、検査結果で「やっぱりスギ花粉ね」とわかっても完全に花粉を避けることはできません。なので、私の外来では普段は花粉症の血液検査を強くおすすめすることは少ないのですが、特に重症で強い薬を飲み続けなければならない場合など、検査をした方がよい場合もあります。検査については、医師とご相談されるのがよいと思います。

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耳鼻科・アレルギー科は、さらに専門性が高い

耳鼻科

耳鼻科では鼻の粘膜を直接観察したり、必要に応じて鼻の粘膜をレーザーで焼くなどの処置を受けることもできます。鼻の症状が強い場合には、耳鼻科の診察はより専門性が高いです(が、この時期の耳鼻科外来はかなり混んでいることも多いため、個人的には、あまり重症でなく、花粉症の薬をもらうだけであれば、科にこだわらず、比較的空いている医療機関を選べばいいかな、とも思います)。


アレルギー科

アレルギー科は、アレルギー疾患に対する専門性がより高い診療科です。しかし、普通の内科に比べると医療機関の数がずっと少ないので、近所になかったり、とても混雑しているという場合には、まずは内科を受診していただくのでも十分かな、と思います。


新しい治療法、「舌下免疫療法」とは

最近では、新しい「舌下免疫療法」といって、アレルギーの原因物質を毎日少しずつ摂取して、身体を慣れさせるという治療法が保険適応されています。子どもは12歳から治療できます。

治療に3〜5年間ほどかかり、毎月の通院が必要になりますが、ご希望の方は、お近くのアレルギー科や内科の病院にお問い合わせください(この新しい治療法に関しては、まだ始まって間もないので、アレルギー科の方が経験が豊富と思われますが、内科でも実施している施設があります)。

通院中の病院でも処方してもらえる?

すでに他の病気などで医療機関に通院中の場合、内科や耳鼻科でなくても(例えば、整形外科や皮膚科でも)、主治医の先生に話してみると、「ついでに花粉症の薬を処方」してくれることが多いと思います。

その場合、診察料を新たに支払う必要がないので、「同じ薬を同じだけ」入手するには、一番割安になると思われます。専門外の薬の処方をしない医師もいますが、処方してもらえることも多いと思いますので、相談してみてください。(ご不安でしたら、診察前に受付の事務員さんや看護師さんに、「できれば花粉症の薬も処方して欲しい」と伝えておくと、診察時にスムーズに伝わると思います)

遠隔医療も…!?

また、2015年から、スマートフォンなどを使用した遠隔医療が解禁されています。

まだ多くの医療機関に広まっているとは言えませんが、遠隔医療を導入している医療機関ならば、初診は医療機関を受診して頂くことになりますが、その次の受診からはスマホでOK!となる場合があります。(遠隔医療を実施しているかどうかは、医療機関にお問い合わせください)

特別な治療は、耳鼻科やアレルギー科へ

花粉症の治療は内科でもOKですが、特別な検査や処置、治療を希望する場合には、耳鼻科やアレルギー科を受診してみてください。

内科・耳鼻科・アレルギー科以外でも花粉症の薬を処方してもらえることもあるので、もし他の病気で通院中でしたら、主治医に相談してみてくださいね。

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著者:箕島みな

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2017.02.15

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