【産婦人科医監修】赤ちゃんの母乳の飲ませ方や授乳時の抱き方

左右の授乳時間や上手に与えるポイント

【産婦人科医監修】赤ちゃんの母乳の飲ませ方や授乳時の抱き方

母乳をあげるときに赤ちゃんが上手く母乳を飲めず、母乳の飲ませ方が下手だと悩むママもいるかもしれません。新生児と月齢が進んだときに適している抱き方についてご紹介します。また、授乳後のゲップのさせ方や左右の授乳時間の目安、母乳を上手に飲ませるためのポイントについて解説します。

母乳の飲ませ方の手順

  1. 母乳を飲ませる前は、まずママは手を消毒します
  2. ママは、赤ちゃんが母乳を飲みやすい姿勢で抱っこしましょう
  3. 抱っこができたら、乳首を赤ちゃんに含ませます。
  4. 左右5~10分程度を目安にして両方飲ませます
  5. 授乳が終わったらゲップをさせます
  6. 残ったおっぱいは搾りましょう

抱っこができて乳首を赤ちゃんに含ませるときは、乳首だけでなく乳首のまわりもくわえさせることがポイントです。

左右5~10分程度を目安にして飲ませるとき、赤ちゃんの鼻をママのおっぱいでふさいでしまわないように指で押さえましょう。

残ったおっぱいは最後に搾って、おっぱいをからにしておくと母乳がつまらずおっぱいの出がスムーズになります。

授乳時の赤ちゃんの抱き方

横抱きで授乳するママ
wong sze yuen/Shutterstock.com

授乳時の抱っこの仕方にはさまざまあります。授乳時の抱き方についてご紹介します。

赤ちゃんが母乳を飲みやすかったり、ママが抱きやすい抱き方を選んで授乳してみてください。


横抱き

乳首の前に赤ちゃんの鼻先がくるようにして、赤ちゃんを寝かせるように横向きにします。

横抱きは、一般的な抱き方で身体を安定しやすく、赤ちゃんの頭を後ろに少しだけ反ると赤ちゃんが母乳を飲み込みやすくなったり、息がしやすくなります。

背中を丸めると肩こりや腰痛の原因となるので、背中を伸ばすことを意識することがポイントです。イスなどに寄りかかると楽に授乳ができます。


交差横抱き

腕に赤ちゃんを抱っこし、手で赤ちゃんの頭、腕で赤ちゃんの背中を支えます。

空いている手を下から出しておっぱいの形を整えて授乳する方法です。

赤ちゃんがおっぱいをしっかり吸えるようになるまで交差横抱きで授乳し、赤ちゃんがおっぱいをしっかり吸えるようになったら横抱きで授乳するママが多いようです。


縦抱き

赤ちゃんの身体を起こしてママの足に赤ちゃんの足をはさむような姿勢をとり、赤ちゃんのお腹とママのお腹を近づけるようにして、正面から授乳する方法です。

縦抱きは、新生児などの身体が小さく首が座らないときには安定しづらいので赤ちゃんの首を支えることがポイントです。

月齢の低い赤ちゃんは姿勢が安定せず、難しいと感じるかもしれませんが、赤ちゃんが口を開けやすいので、横抱きだと上手く飲めなかった赤ちゃんも縦抱きにするとしっかりと母乳を飲めることもあるようです。


フットボール抱き

赤ちゃんの頭だけを乳房の方に出して、小脇に抱える抱き方がフットボール抱きです。頭と身体をしっかりと支えることがポイントです。

赤ちゃんの姿勢をコントロールしやすく、赤ちゃんもおっぱいに深く吸いつきやすいので、首が座る前の赤ちゃんも授乳しやすいです。双子のママも一度に2人授乳できます。


添い乳

赤ちゃんが横になっているところにママが向かい合って横になります。

添い乳は、抱っこをして授乳するのではなく、寝ながら向かい合った状態で赤ちゃんに乳首を含ませて授乳する方法です。

ママも起き上がらなくてよく、楽な体勢で授乳ができますが、まだ首が座っていない新生児は位置の調節がしづらいのでので、月齢がある程度進んだ赤ちゃんに適している方法です。

添い乳は、赤ちゃんのゲップが出にくい姿勢なので、添い乳で授乳したあとは縦抱きにして背中をさすってゲップをさせるのを忘れずにしましょう。

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授乳後のゲップのさせ方

母乳を飲んでげっぷをする赤ちゃん
iStock.com/Mitsuo Tamaki

母乳を飲んだあとそのまま寝かせてしまうと、母乳が逆流しやすい状態で吐き戻しが起こる可能性があります。授乳後はゲップをさせることが大事です。

しかしゲップは、授乳後に必ず出るものではなく、上手くゲップが出ずに苦労するママも多いようです。

授乳後に落ち着いてから赤ちゃんの胸の下あたりをママの肩に乗せるようにして背中を下から上にさすりましょう。5分くらい背中をさすってもゲップが出なければ、赤ちゃんの顔や身体を横に向けて寝かせると体勢が変わり、ゲップがでる場合があります。

それでもゲップが出ない場合は、ママの胸の上で赤ちゃんをうつぶせにして背中をさすってあげると出ることがあります。

母乳の上手な飲ませ方

初めは母乳が上手く飲ませられず苦労するママもいるでしょう。赤ちゃんが母乳を飲めないときには、赤ちゃんの頭とママのおっぱいが真向かいになるようにします。

赤ちゃんが乳首だけでなく、おっぱい全体をくわえるように意識し、赤ちゃんの口からはみ出ている乳輪の大きさが下側よりも上側の方が大きくなっているかを確認しましょう。

乳頭に痛みを感じたり、強く引っ張られている感じがしたときは赤ちゃんがおっぱいを正しくくわえられていない可能性があるため注意が必要です。赤ちゃんの口を乳首から離して、もう1度くわえ直させてみると上手くいくことがあります。

月齢に合った母乳の飲ませ方で授乳しよう

赤ちゃんに母乳を与えるママ
mrvirgin/Shutterstock.com

赤ちゃんが生まれて母乳を飲ませるときに、赤ちゃんが母乳を上手く飲めずに母乳の飲ませ方が下手だと悩むママもいるかもしれません。

母乳を飲ませるときの抱き方にも横抱きや縦抱き、フットボール抱きなどさまざまな方法があるので、新生児や赤ちゃんなど月齢に合わせて赤ちゃんが飲みやすい抱き方を選ぶとよいでしょう。

授乳をするときは、赤ちゃんが乳首だけでなくおっぱい全体をくわえてきちんと飲めているかを確認しながら、左右の授乳時間に差が出すぎないように片方の授乳時間が5~10分程度を目安にすることがポイントです。

赤ちゃんの月齢に合った抱き方や赤ちゃんが母乳を飲みやすいポイントを抑えて授乳をしましょう。


監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。 患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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