【耳鼻科医監修】スイミングで副鼻腔炎は悪化するの?主な症状と治療中の注意点

【耳鼻科医監修】スイミングで副鼻腔炎は悪化するの?主な症状と治療中の注意点

アレルギー性鼻炎から、子どもがかかりやすい副鼻腔炎。症状が長く続くと慢性副鼻腔炎(通称:蓄膿症)にもなりえます。症状や原因、治療法、治療中のスイミングや注意点もあわせて、白金エムズクリニック院長の耳鼻科医、三塚沙希先生監修のもと解説します。

副鼻腔炎とは

鼻の周りや奥にある空洞を副鼻腔といいます。

風邪などがきっかけで、鼻の入口の鼻腔が炎症を起こすことがあります。さらに鼻水などの症状が長引くと、ウイルスや細菌が副鼻腔で炎症を起こし、副鼻腔炎にかかることがあります。鼻腔と副鼻腔はつながっているため、鼻の奥の副鼻腔にも炎症が起こるのです。

子どもが副鼻腔炎を起こしやすいのには、子どもならではの理由があるようです。

子どもの副鼻腔炎の原因

鼻水をたらす女の子
fotorawin/Shutterstock.com

子どもが副鼻腔炎になるのには、風邪以外にも花粉やカビなどのアレルギー性鼻炎が原因となります。ほかにも免疫が弱くて風邪がなかなか治らない、鼻をかめずにすすってしまう、などの理由で副鼻腔炎になりやすいようです。

子どもの副鼻腔炎の症状

子どもの副鼻腔炎は、風邪をひくたびに再発を繰り返したり、アレルギー性鼻炎がある場合は治りにくいようです。子どもの副鼻腔炎の主な症状を解説します。


鼻水

アレルギー性鼻炎の鼻水は、透明でサラサラしていますが、副鼻腔炎では、粘り気のある黄色の鼻汁になり、症状が進むと緑色の鼻水になることが特徴です。


鼻づまり

副鼻腔炎になると、鼻腔や副鼻腔の粘膜が腫れて、鼻づまりになります。症状が進行したり、悪化し鼻茸(ポリープ)ができたりすると、空気のすき間が狭くなり、より鼻づまりを感じるでしょう。


後鼻漏(こうびろう)

後鼻漏(こうびろう)は、子どもによくあらわれる症状のひとつです。鼻汁がのどに流れてネバネバするなどの不快感があります。後鼻漏になると、話し出すときに声が上手く出せない、咳で夜眠れないなどの症状が出ます。


頭痛

頭が痛い女の子
iStock.com/GOLFX

副鼻腔炎にかかると顔面のなかで数か所にわかれている副鼻腔内に炎症が起こったり、膿がたまることで頭痛が起こります。頭がモヤモヤしたり、ぼーっとして集中できず、思考力が落ちる場合もあるようです。


痛み

副鼻腔炎になると、顔の内側に膿がたまることで、頬や両目の間、歯に痛みを感じることがあります。炎症がひどくなると、発熱や、目の痛みが強くなり、視力障害をきたすこともあります。


食べ物のにおいや味を感じない

鼻のなかのにおいを感じる部位の粘膜が腫れ、膿がたまるため食べ物のにおいが分からなくなります。炎症が長引くと、味がしないなどの味覚障害が起こることもあります。

急性副鼻腔炎と蓄膿症

急性副鼻腔炎は、成長とともに自然治癒したり、抗生物質を服用すると4週間程度で症状がおさまるケースがほとんどです。

しかし、症状が悪化したり、放置していると、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)になったり、検査で鼻茸(はなたけ)と呼ばれるポリープが発見されたりします。慢性副鼻腔炎(蓄膿症)になると、治療をしていても、1~3ヶ月程度完治まで時間がかかることがあります。

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副鼻腔炎の診断法

問診や視診で副鼻腔炎の疑いがあると診断されたときには、低年齢の幼児でも内視鏡検査を実施することがあります。内視鏡(ファイバースコープ)で鼻の中を直接覗き、鼻と副鼻腔炎の通り道を調べて診断する方法です。

副鼻腔炎の治療と薬

副鼻腔炎は、通院と抗生物質や去痰剤などの薬で治療する方法が一般的です。ほかにも漢方薬で治療する方法がありますが、幼児では服用を続けるのが難しいでしょう。

慢性副鼻腔炎の場合には抗菌薬を長期にわたって少量服用し、副鼻腔炎の中にいる菌を少なくしていく治療法もあります。子どもにはまれですが、手術で膿や鼻茸を取り除くというような治療が行われることもあるようです。

副鼻腔炎の注意点

風邪予防をしっかりする

マスクをする親子
iStock.com/maroke

風邪から副鼻腔炎を起こす可能性が高いので、手洗い、うがいや人混みに外出するときはマスクを着用したり、睡眠を十分とるなどの風邪予防をすることが大切です。

特に、子どもは免疫力が弱いので、日頃から手洗いうがいの習慣を身に着けるなど、風邪の予防対策が大切です。


耳鼻科を受診する

市販薬は、鼻づまりなどの症状を一時的に改善することはできますが、薬の効果が切れると鼻づまりをより感じたり、症状を悪化させる可能性があります。すぐに病院に行けないときや夜に症状が出たときに、一時的に市販薬を使ったとしても、近いうちに病院で受診してもらうことが大事です。


鼻のかみ方に注意

鼻を勢いよくかむと、鼻の細菌が耳管に通って中耳炎に感染することがあります。子どもが鼻をかむときは、ゆっくり優しく片方ずつかむように伝えます。

また子どもが鼻すすりを続けるのも鼻腔に細菌やウイルスがとどまったり、後鼻漏になる癖がついたりするので注意しましょう。子どもが自分で鼻をかむのが難しいときは、ママが鼻吸引をしてあげたり、こまめに耳鼻科や小児科で吸引を行うとよいでしょう。

副鼻腔炎のときのスイミングは?

副鼻腔炎のときにスイミングはしてもよいのか、気になるママもいるでしょう。

子どももスイミングを楽しみにしていると、なるべく参加させてあげたくなるかもしれませんが、副鼻腔炎のときにプールに入ると、プールの塩素や水中のごみがアレルゲンとなり、アレルギー反応が起こって鼻水が多くなる場合があります。黄味がかったドロッとしている鼻汁や、ほかに頭痛などの症状があるときにはスイミングは控えましょう。

早めの治療で薬と通院で副鼻腔炎を治そう

親子 鼻かみ
szefe/Shutterstock.com

副鼻腔炎は、普通のアレルギー性の透明でサラサラした鼻水とは違い、黄色くドロッとした鼻水が特徴です。子どもは免疫が低く風邪をこじらせやすかったり、鼻をかむのが苦手だったりして副鼻腔炎になりやすいものです。

気になる症状を放っておくと、長期間続き重症すると慢性副鼻腔炎(蓄膿症)や鼻茸(ポリープ)を引き起こす可能性があるため、副鼻腔炎だと感じる症状がみられたら、早めに病院を受診することが大切です。

保護者が自己判断で放置したり、薬を飲ませたりすると、症状を悪化させることがあるため、必ず耳鼻咽喉科で受診をしましょう。副鼻腔炎の症状を子どもが自分で言葉にするのは難しいかもしれないので、ママやパパが子どもの様子をよく観察することが大事です。


監修:三塚沙希(エムズクリニック)

Profile

三塚沙希(エムズクリニック白金)

三塚沙希(エムズクリニック白金)

エムズクリニック白金 院長。 わかりやすく、丁寧な診察を心がけ、お子様からお年寄りまで安心してかかれるクリニックを目指している。

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