【小児科医監修】乳幼児の耳垢は耳鼻科に任せる?0~2歳別の掃除方法について

【小児科医監修】乳幼児の耳垢は耳鼻科に任せる?0~2歳別の掃除方法について

「うちの子の耳垢って黒いんだけど、他の子も黒い?」「湿っていて臭いけれど、大丈夫?」など子どもの耳垢の状態が気になっているママもいると思います。そこで、乳幼児の耳垢の特徴について専門家に聞いてみました。耳掃除は親がやってもよいか、それとも耳鼻科に任せた方がよいのかなど耳のケア法についても解説します。

赤ちゃんの耳垢の特徴

赤ちゃんの耳
iStock.com/hatipoglu

耳垢と聞くと、その字から「汚い」「たまっていると不潔」などのイメージを持っているママもいるのではないでしょうか。

実は耳垢は、耳の奥を保護したり、雑菌の繁殖や外からのごみや虫の侵入を防ぐという役割があります。この役割は大人も子どもも同じです。ただ、体のつくりや長く胎内にいたことから赤ちゃんの耳垢は、大人と違うところがあります。赤ちゃんの耳垢の特徴を紹介します。


耳垢が黒っぽい

産まれたばかりの赤ちゃんから黒っぽい耳垢が出てきて心配に思ったママもいるでしょう。ママのお腹にいるときに羊水に交じっている排泄物が赤ちゃんの耳に入り込み、黒っぽい耳垢が出てくることがあります。また、乳幼児期は大人に比べて皮脂が多めに混ざっているため耳垢が茶色に見える場合もあります。

しばらくすると黒い耳垢から大人と同じように黄色っぽい耳垢になるため、茶色や黒っぽい耳垢が出てきても心配しなくても大丈夫でしょう。


耳垢が臭い

赤ちゃんは1日のほとんどを寝て過ごしています。涙やよだれなどが耳に入ることもあるでしょう。ほかにも、授乳のときに母乳が口からこぼれて耳に入ってしまう場合も。いろいろなものが耳に入り込んで耳垢が臭いと感じることがあります。

中耳炎や外耳炎による耳垂れのこともあるので、心配なときは、一度耳鼻科や小児科で相談して耳の中を確認してもらうと良いでしょう。


耳垢が湿っぽい

赤ちゃんの体温は大人の体温より高く、汗っかきで代謝もよいので耳のなかも湿っていることが多いです。新生児のときは皮脂分泌が活発なのでべたべたしている場合も多いでしょう。

1~2歳くらいから乾いた耳垢になる子が増えますが、生まれつき湿った耳垢の子もいます。遺伝もあるといわれています。外まで出てくる耳垂れでなければ受診をしなくても大丈夫ですが、湿った耳垢はつまりやすいので、定期的に耳鼻科で耳掃除をしてもらうと良いでしょう。

赤ちゃんの耳掃除は親がやる?それとも耳鼻科?

耳鼻科の器具
© Hassyoudo – Fotolia

「赤ちゃんが動いて耳の中を傷つけてしまいそう…」、「ケガをさせてしまうかもしれない」と心配に思い、赤ちゃんの耳掃除をするのが怖いと思ったことはありませんか?

そうは思っても「耳垢は気になるけれど、耳掃除だけで耳鼻科に受診してもよいのかな…」と、迷うママは少なくないでしょう。

専門家によると、

耳垢が多少たまっていても問題ありませんが、詰まっているなら耳鼻科で掃除をしてもらうとよいと思います

出典: AskDoctors

とのことです。耳垢を気にしすぎて、頻繁に耳掃除をしたり、綿棒などで奥の方まで掃除しようとすると、耳垢を奥に押し込むこともあります。年に数回、耳鼻咽喉科で除去してもらうと良いでしょう。

ママやパパのなかには「家でもケアできるようにしたい」と思っている人もいるでしょう。そこで、年齢別のホームケア法を紹介します。

年齢別の耳垢の掃除の仕方

0歳

赤ちゃんの耳掃除
© ri。 – Fotolia

赤ちゃんのときは、体も小さく耳の入口から奥までの距離も近いため奥まで綿棒を入れてしまうと耳のなかを傷つけてしまう恐れがあります。

赤ちゃん用の綿棒やガーゼで耳の入口付近を優しくふき取る程度で大丈夫です。


1歳

耳垢が加湿されて柔らかくなっているお風呂あがりに行うのがよいでしょう。綿棒は鉛筆を持つときのように持ち、子どもの頭を押さえて耳掃除をしましょう。耳たぶを少し広げるようにするのがポイントです。

1歳は自分で耳に綿棒を差し込んでしまっての事故が最も多いので、綿棒は子どもの手の届かない場所に置くように注意しましょう。

出典:日常生活における事故情報(耳かき中の事故に注意!)/東京消防庁

2歳

2歳くらいになると乾いた耳垢になる子が多くなってきます。お風呂上り以外のときに耳掃除をする場合は耳垢が固まっている場合もあります。そんなときはオリーブオイルをつけた綿棒やガーゼを濡らして耳の入口付近を掃除してあげるとよいでしょう。

乳幼児には、耳垢を自然に外に排出する仕組みが備わっているので無理に奥の耳垢をとろうとしないようにしましょう。耳奥1㎝以上の掃除は家庭ではなく、病院でやるようにしましょう。

耳掃除の上手なやり方

・動かないように大きめのタオルで赤ちゃんをくるみます。
・耳の汚れがしっかりと見えるように明るい場所に寝かせる。
・ガーゼか綿棒を使います。
・掃除をするのは汚れが見える部分を耳穴に沿わせてくるくる回します。

奥まで入れすぎずに、耳の入口を掃除することがポイントです。耳掃除は月に1~2回程度がよいでしょう。

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【体験談】ママたちの耳掃除のコツ

耳かきを嫌がる子どももいるでしょう。ママやパパはどのように耳垢の掃除を行っているのか体験談を聞いてみました。

・0歳のときは体が小さいので嫌がっても押さえて耳かきをしています(1歳児のママ)

・テレビに集中しているときに耳の入口やふちを掃除しています(2歳児のママ)

・ママの膝の上に座らせてミルクを飲んでいる間に耳掃除をしています(1歳児のママ)

・パパの膝の上に座らせて絵本を読み聞かせているときにママが耳掃除をしています(4、2歳児のママ)

・バスタオルや大きめのタオルで子どもをグルっと巻き、手足が動きにくい状態にして耳掃除をしています(小3、小1のママ)

・毎回耳かきを嫌がるので、寝ている間にしています。体がまだ小さいので肘で押さえながら携帯の光で耳のなかを照らしながら耳掃除をしています(4、2歳児のママ)

乳幼児の耳垢が気になったら耳鼻科へ

耳を診てもらう赤ちゃん
© ztony1971 – Fotolia

耳垢は耳の奥を保護してくれる役割もあります。耳垢が詰まっているのが見えると気になるかもしれませんが、無理にとろうとすると、奥に押し固めてしまうので、耳の入口や付近をきれいに保つことが大切でしょう。

耳垢が茶色や黒い、耳垢が湿っている、臭いと病気かもしれないと心配になるかもしれません。でも、乳幼児は長くママの胎内で過ごしていたことから黒かったり、臭うこともあります。気になるときには耳鼻科で診てもらうようにしましょう。

監修:金髙太一 (おひさまクリニック 院長)

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小児科専門医、地域総合小児医療認定医。小児の感染症、アレルギー、免疫・膠原病を中心に東京、横浜の病院で研修・診療の経験を積み、2015年に東京の十条にておひさまクリニック(小児科、耳鼻咽喉科)を開院。子どもたちが健やかに成長していくためのサポートをしたいと思っております。また、3児の父でもあるので、子どもに関することでしたら、お気軽にご相談ください。

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