【小児科医監修】おたふく風邪ワクチンの予防接種。料金と接種時期、副反応について

【小児科医監修】おたふく風邪ワクチンの予防接種。料金と接種時期、副反応について

予防接種の中には公費で接種できるものと、自費で接種する任意接種があります。おたふく風邪は自費で接種する任意接種になりますが、ママの中には「受けるか迷っている…」という人も多いのではないでしょうか。そこでおたふくの予防接種の料金、接種する時期と間隔、出やすい副作用(予防接種では副反応と呼ぶ)について専門家に聞いてみました。

おたふく風邪ワクチンで予防できる病気

おたふく風邪というと、「耳の下がはれておたふくのようなしもぶくれの顔になる病気」というイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。実際にどんな病気なのかを聞いてみました。


病気のはじまりと潜伏期間

おたふくかぜは正式名「流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)」。

ムンプスウイルスというウイルスに感染することで、主に耳の下あたりにある耳下腺(唾液腺)の片側もしくは両側がはれる病気です。


主な症状は発熱し耳の下が腫れる

熱でぐったりする子ども
ucchie79/Shutterstock.com

おたふく風邪の特徴的な症状といえば、耳の下にある唾液腺が炎症を起こして腫れることです。
片方だけ腫れる場合もあれば、両側ともに腫れるケースもあり、その様子が日本古来のお多福のおめんに似ていることからおたふく風邪と呼ばれるようになったそうです。

耳の下が腫れていることで、口を開けるときに痛みを感じたり、耳の下を圧迫されたような痛みを伴うことが多いようです。


感染の仕方と予防法

ムンプスウイルスは、数多あるウイルスの中でも比較的感染力が強いウィルスです。飛沫感染や、感染者が触ったドアノブなどを触ることでうつる接触感染で広がっていくので、保育園など小さな子どもが集団生活する場で発生したら、注意が必要です。

通常は1~2週間で治りますが、まれに合併症として髄膜炎や難聴、膵炎、睾丸炎などを引き起こす場合もあります。なかでも重篤なのが難聴。完治しないことも多く、後遺症となりやすいです。髄膜炎は、重篤な細菌性髄膜炎とは異なりますがかかると頭痛、嘔吐や場合によってはけいれんなどの症状が見られる可能性があります 。

このような万一の事態にならないための予防法の1つとして考えたいのが予防接種でおたふく風邪ワクチンをうつという方法です。

おたふく風邪ワクチンの料金と接種タイミング

「我が子はなるべくならかからせたくないけれど、自費だといくらかかるの?」と気になるママも多いのではないでしょうか。

そこで、おたふくかぜワクチンの1回あたりの料金や接種回数などを調べてみました。


接種回数は2回

おたふくかぜのワクチンは現在、複数のメーカーが作っています。いずれのメーカーのワクチンも2回接種となります。


料金

かつては麻しん風しんなどと一緒になって「MMRワクチン」として公費接種していた時期もありましたが、現在では、任意接種になるので、接種費用は自費になります。地域や病院によって異なりますが、おおよそ1回あたりの料金が4000~8000円です(地域や医療機関によって金額は異なります)。

自治体によっては、費用の一部を負担する助成制度が設けられているところがあるので、確認を。


接種回数と間隔

初回は1歳~1歳3カ月の間に接種。間隔をあけて2回目は3~7歳の間に2回目を接種しましょう。

初回接種の際、MRワクチン(はしか、風しんを予防するワクチン)と、水痘ワクチン(みずぼうそうを予防するワクチン)と同時接種する人も多いようです。


皮下注射のワクチン

おたふくかぜワクチンは、生ワクチンを皮下注射するワクチンです。生ワクチンとは、生きたウイルスをできるだけ毒素を抑えた状態にし、接種した後体内で免疫が作れるようにしたもの。ごくまれにとても軽い症状ですが、自然感染した時に見られる症状が現れることがあります。

ワクチンの必要性

おたふく風邪のワクチン
©  Qiteng T – Fotolia

おたふく風邪のワクチンは任意接種なので、ママやパパの中には「接種しようか迷っている…」「接種しないで自然感染で免疫をつけた方がいいかも」と、考える人もいるかもしれません。医師によると

おたふくかぜの予防接種は、髄膜炎の副反応が出ることがありますが、自然感染(野生株)より頻度が少ないです(2,100人に1人程度)。

出典: AskDoctors

といいます。

自然におたふく風邪にかかって免疫をつけるよりも、予防接種で免疫をつけた方が後遺症や合併症のリスクが低いようです。

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薬の副作用と似たワクチンの「副反応」について

ワクチンを接種した際、まれに病気の免疫がつく以外の反応が見られることがあります。それが「副反応」。簡単に言うと、薬の副作用と同じようなものです。

おたふくかぜのワクチンの副反応として見られるのが、接種部位が赤くなって腫れる、発熱や耳の下の腫れ、嘔吐、鼻水などが見られます。

これらの症状は接種後数日で消えていくものがほとんどです。

重症な副反応として知られているのが、発熱や嘔吐、首の後ろが曲がりづらくなるような症状がみられる無菌性髄膜炎です。

おたふくかぜの生ワクチンによる無菌性髄膜炎の頻度は、星野株ワクチン(製造販売元:北里第一三共ワクチン株式会社)が1/13,710、鳥居株ワクチン(製造販売元:武田薬品工業株式会社)が1/6,717、宮原株ワクチン(製造販売元:化血研:販売中止)が1/8858、と言われます。

出典: AskDoctors

接種後、3週間後あたりに出やすいといわれているので、注意してみてあげてください。

接種後の注意点

ごくまれに接種後30分以内に呼吸困難や意識障害などがみられる「アナフィラキシーショック」の症状が現れる場合も。はじめておたふく風邪ワクチンを接種したときは、できるだけ接種後30分は病院にいるようにしてください。

接種当日の入浴はOKですが、接種部位をこすらないよう心がけましょう。

おたふくかぜ予防接種の料金や接種時期や間隔、薬の副作用に似た副反応について事前にチェックを

診察を受ける子ども
©  polkadot – Fotolia

おたふくかぜワクチンの予防接種は、自然感染するよりも合併症や重症化させるリスクが少ないため、有効な予防方法の1つです。

任意接種のため、自費での接種になり、料金のことを考えると二の足を踏んでしまうママもいるかもしれません。ただ感染力も強いので万一の事態に備えるなら、専門家もアドバイスしている通り、接種しておくのが望ましいといえるでしょう。

また、薬の副作用のようなものがワクチンにもあり、副反応と呼ばれています。

おたふくかぜワクチンの副反応として注意したいのが無菌性髄膜炎です。接種してから3週間頃あたりに発症することが多いので、子どもの様子や反応をこまめに確認を。

同じ1歳前後で接種するMRワクチンや水痘ワクチンと同時接種にすると、何度も病院へ行く手間も省けます。乳幼児期に流行しやすい病気の1つなので、よくママが考えて接種する・しないを決めてあげてください。


監修:金髙太一 (おひさまクリニック 院長)

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金髙太一

小児科専門医、地域総合小児医療認定医。小児の感染症、アレルギー、免疫・膠原病を中心に東京、横浜の病院で研修・診療の経験を積み、2015年に東京の十条にておひさまクリニック(小児科、耳鼻咽喉科)を開院。子どもたちが健やかに成長していくためのサポートをしたいと思っております。また、3児の父でもあるので、子どもに関することでしたら、お気軽にご相談ください。

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