「生理の貧困」問題を受け、生理用品の無料配布に国の補助も。保護者の声に見る今後の性教育とは

「生理の貧困」問題を受け、生理用品の無料配布に国の補助も。保護者の声に見る今後の性教育とは

世界各国で生理用品無料化への動きが活発だ。また「生理の貧困」問題については連日メディアで取り沙汰されている。こうした話題を受け子育て中の保護者はどう感じているのか、意見を聞いた。

各国で生理用品無料提供の動き

2020年11月にスコットランド政府が世界で初めて生理用品の無料提供を定める法律を制定したことが話題となっている。生理用品を購入することの経済的負担をなくすことが目的で、学校や公共施設で、生理用品を必要とする全ての人に無料で提供される。またスコットランドに続き、ニュージーランドイングランドなど各国で政府による生理用品の無料提供の動きが始まったというニュースも報道された。

一方で日本においても、金銭的な理由から生理用品を購入することができない「生理の貧困」について連日メディアで取り沙汰されている。

また内閣府男女共同参画局は2021年3月23日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で孤独や困窮状態にある女性を支援するため、関連する交付金を拡充することを決定。交付金の使途には生理用品の無料配布を含み、予算は約13億5千万円をあてる。

出典:「令和3年度実施 地域女性活躍推進交付金(拡充)」(内閣府男女共同参画局)

実際に子育てをする保護者の声は……

各国での生理用品無料化の話題や「生理の貧困」問題を受け、実際に子育てをする保護者はどう感じているのかアンケートを実施した。

長男3歳の母親
長男3歳の母親

生理用品は日々の生活の中で必ず必要なものとして認識していたので、今回さまざまなメディアで生理用品を購入することができずに他のもので代用している方がいるのを目にして、正直とても驚きました

長女13歳の母親
長女13歳の母親

ニュースで見たときに、少々びっくりしました。 日本だけではなく世界的な問題とのことですが、生理用品が買えずに下着や洋服が汚れてしまうという理由で学校に行けないなどはあってはならない問題だと思います。もし自分の子どもも同じ立場になったらと思うと、とても考えてしまいます

このように「生理の貧困」については、考えたことがなく驚いたという声が多かった。

長男5歳の母親
長男5歳の母親

身体的、心理的、経済的に……なぜ女性だけがこんな負担を強いられるのだろう、ということはずっと感じていました。子どもたち世代には、せめて経済的負担だけでも軽くしてあげられたらいいなと思います

長男10歳、長女7歳、次男5歳の母親
長男10歳、長女7歳、次男5歳の母親

配布方法や合う合わないなどさまざまな課題はあると思いますが、無料化自体は「ようやく時代が少し進んだ」と感じ単純に嬉しいです。これがきっかけとなり、生理についてもっとオープンになっていくといいなと思います

といった意見も挙げられた。

こちらの記事も読まれています

性教育の日本の現状は……

こうした問題が取り沙汰されるようになったことを受け、改めて日本の性教育についても見直したい。

「日本の性教育の現状をどう思いますか?」という質問に対しては、下記のような意見があった。

長女3歳の母親
長女3歳の母親

他の国と比べても、遅れていると思います

長男5歳の母親
長男5歳の母親

男女教室を分けられ、生理のことを学ぶのは女子だけってなんだか納得がいきません。その授業でも、生理がこんなに大変なんて教えてもらいましたっけ?PMSや更年期とか、生理用品にもお金がかかることとか……。男の子にも生理の大変さを知ってほしいと思います

これまでの性教育については、決して良いものではなかったと感じている人が多いようだ。

長男3歳の母親
長男3歳の母親

最近になってようやく性教育や生理についてさまざまなところで取り上げられていますが、日本はまだまだ認識として低いと感じています

長女5歳、長男3歳、次女1歳の母親
長女5歳、長男3歳、次女1歳の母親

全くオープンではないし、むしろ恥ずかしいこと、汚いことのようなイメージを持っている人もいるのが残念です。マスメディアでも話題にあがるようになったり少しずつ変わってきているのは良い流れですが、もっともっと変わる必要があると感じます

長女13歳の母親
長女13歳の母親

今までは性教育や生理についてクローズドな空気を感じていたがここ最近はテレビでもオープンに語られるようになり、とてもいいことだと思う。 私自身、パートナーとも話し合いがしやすくなったと感じる

少しずつメディアでもオープンに取り上げられてきていることに対して、好意的な意見が大半だった。

今後の性教育に期待

「性教育について学校や行政に望むことや、家庭ではこうしていきたいという考えがあれば教えてください。」という質問に対しては、

長女3歳の父親
長女3歳の父親

親から教えるには何かとバイアスがかかるので、学校で客観的事実をインプットしてほしい

長男5歳の母親
長男5歳の母親

生理についての教育は小一時間の授業だけではなく、小・中・高とステージを変えてそれぞれ行ってほしい。あと、完全に生理用品を無料化するのは難しくても、せめて学校トイレのナプキンは無料常設してほしいですね

長女5歳、長男3歳、次女1歳の母親
長女5歳、長男3歳、次女1歳の母親

5歳長女にはお風呂に入るタイミングで、生理は大変だけどいつか赤ちゃんを産むための準備だから嫌なことではないんだよと教えています。学校でもポジティブなイメージをもって教えてほしいし、どういう性教育をしているのかは家庭に共有してほしいなと思います

長男10歳、長女7歳、次男5歳の母親
長男10歳、長女7歳、次男5歳の母親

親としては最新の本を読むなどしてオープンに子どもと話すようにしていますが、性教育や生理についての知識は家庭ごとに教育格差があってはいけないと思うので、学校でもある程度知識をアップデートし子どもたちに教えてほしいです。親も当然その必要があるので親子(父親含む)でおこなえるのが理想です

といったコメントも挙げられた。

子どもに対しては生理についてオープンに話していきたいけど、パートナーに対してはまだ少し抵抗が残るという声もあり、教育を通して大人の意識もアップデートしていくことが必要かもしれない。

今年3月には豊島区足立区期間限定で生理用品の無料配布を行うなど、日本国内でも公的支援は始まっている。

生理の話題が学校や家庭などでもオープンに語られる社会になることで、多くの社会問題の解消につながっていくことを期待したい。


【調査概要】
・対象:保護者に向けてアンケート調査を実施
・調査期間:2021年3月22日~2019年3月24日
・回答数:8人


<執筆>KIDSNA編集部

2021.03.26

教育コラムカテゴリの記事

ショート動画

教育を親の自己満足にしてはいけない。教育虐待になりうるハイパーペアレンティングの恐ろしさとは

教育熱心はどこまで?

この連載を見る

不安定な社会情勢やSNSなどを通じて得る過剰な教育情報によって、子どもの教育に奔走し、過干渉な子育てをする親が増加しています。行き過ぎた「教育熱心」が及ぼす危険性とは?そして子どもを疲弊させないために、親がどうあるべきか、各専門家に取材しました。
夫婦2人で全部は無理?「子育て・家事・仕事」現代子育てに素敵な選択肢を

共働き家庭が増加している昨今、夫婦ともに実家が遠いと、どうしてもシッターが必要になることもあるのではないでしょうか。今回の記事では、共働き家庭のママが有資格者のみが登録できるKIDSNAシッターのサービスをはじめて利用した様子をレポートします。