教育熱心はどこまで?
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不安定な社会情勢やSNSなどを通じて得る過剰な教育情報によって、子どもの教育に奔走し、過干渉な子育てをする親が増加しています。行き過ぎた「教育熱心」が及ぼす危険性とは?そして子どもを疲弊させないために、親がどうあるべきか、各専門家に取材しました。
2017.04.08
カリスマ保育士「てぃ先生」のコラムをお届けします。第1回の今回は「子どもの叱り方」をテーマに、保育園での豊富な現場経験から「子どものためになる」叱り方について考えてもらいました。
関東の保育園に勤めるカリスマ保育士。保育園の日常をつぶやくツイッターには40万人を超えるフォロワーがいる。著書に『ハンバーガグー』『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』(ともにベストセラーズ)など。またツイートを原作とした漫画『てぃ先生』も連載中。2017年にはアニメ化も発表された。「保育・子育ては大変なことばかりではなく、楽しいこともいっぱいある」ということを伝えるために、現在も活動中。
きっと多くのパパママが悩んでいるであろう、このテーマ。実は、僕もたくさん悩んで失敗してきました。
特に新卒の頃を思い出すと、何故あんな叱り方・怒り方をしてしまったのかと反省ばかりが浮かんできますし、今でも試行錯誤を繰り返しています。
初めてお子様をもったパパママはきっと、新卒の頃に初めて担任をもった僕と似たような気持ちを持っているのかもしれません。
危ないことをしていたから、人に迷惑をかけることをしていたから、など様々理由があると思いますが、きっと「子どものため」にやっていることだと思います。そうなのであれば、子どものためになるような叱り方が良いですよね。
僕は、子どものためにならない注意は「叱った」のではなく「怒った」だと考えています。
例えば、登ってはいけないところに子どもが登ったとして、大人が「降りなさい!」と注意すれば、それで解決するかもしれません。静かにしていなければならないところで騒いだ子どもがいたとして、大人が「静かにしなさい!」と注意すれば、それで解決するかもしれません。
怒られるから登らない、怒られるから騒がない、一見とても簡単に子どもを注意できているようですが、これは
その場だけの解決であり、子どもの為にはなっていないような気がします。
重要なのは
「何故登ってはいけないのか」
「何故騒いではいけないのか」
これを子どもに理解してもらうことです。それができなければ、おそらく3分後にはまた同じことで怒られ、
「さっきも言ったでしょ!」
「何回言えばわかるの!」
と言われる子どもの姿があると思います。
僕も新卒の頃は怒っていました。それこそ
「うるさーい!」
「お話聞きなさーい!」
といった具合です。しかし、それを続けていくうちに気がつきました。本当の意味では子どもに何も伝わっていないこと、そして怒ったあとに罪悪感を抱えていることに。
それからはガラッと考え方を変えました。
高いところに登ると危ない、静かなところで騒ぐのは人に迷惑がかかる、大人にとっては「当たり前」なことも、子どもにとってはそうではありません。
分からないこと・知らないことは誰だってできませんから、一つ一つ丁寧に説明してみようと行動を開始しました。説明をしても伝わらない場合はありますが、
根気よく付き合うことで変化がみられました。
解決への即効性は怒った時よりも低いですが、きちんと伝えることで
「怒られるからやらない」
のではなく
「こうでこうだからやらない」
という本当の意味での理解につながり、結果として、一つを伝えると他のことに関しても子ども自らが考え、行動をするようになったと思います。
もう一つやってみたことがあります。
「なぜ、こんなことをするのだろう?」と子どもの行動を考えてみることです。
登る、騒ぐ、子どもの行動には必ず理由があると思い、それを考えるようになってからは毎日が楽しくなりました。今思えば、これが最も重要で、解決への近道だとわかります。
高いところに登っている子どもの視線の先を見て「あぁ、あれが見たかったのかな」と考えたり、騒いでいる子どもを見て「何かおもしいことがあったのかな」と考えたりすることで、前までは「もう!」と思う子どもの行動が全て「愛らしい」と思えるようになったのです。
なぜそれをしたのか考えても分からない時は子どもに聞いてみました。
「ねぇねぇ、どうしてそんなところに登ってるの?」
「ねぇねぇ、何でワー!って楽しそうなの?」
そうすると
大人では考えつかないような素敵だったり、おもしろい!と感じるような答えが返ってきました。
その時、「今までも子どもはこんな風に思って色々な行動をしていたのに、勝手に全てを決めつけてしまって、なんてもったいないことをしたんだろう」と後悔しました。
まずは子どもの行動を理解して認めてあげること、それから、注意したいことの説明をしてあげること。
これで子どもも自分も楽しく、幸せに過ごせるようになったと思います。ぜひ、ご参考に。
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